Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Outline of Research at the Start |
ステロイド性抗炎症薬は, 様々な疾患治療に応用された, 現代医療における最も重要な薬物の一つである. 例えば気管支喘息では,吸入ステロイドの台頭は治療満足度の向上に大きく貢献した. 一方, 原因不明の抵抗性により病態の制御不能な重症化患者が存在し, その機序の解明は重要な課題である. 我々は, チリダニ抗原で誘発した喘息モデル動物の解析から, IL-17AとIL-13の相互作用がステロイド抵抗性の形成に関連する可能性を見出した. 本研究では, ステロイド抵抗性の気管支喘息の病態形成にIL-17AとIL-13が果たす役割を解明し, ステロイド治療の抵抗性問題を克服する薬物治療の提唱を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 重症化喘息のステロイド 抵抗性の粘液産生に関わる重要なサイトカインとして抽出したIL-17AとIL-13に関して, その真の寄与と役割について解析 した. まず, 本研究では, チリダニ抽出物(HDM)を頻回投与することで誘導した重症喘息モデルの病態を評価した. その結果, 本モデルで特徴的なステロイド抵 抗性の気道粘液MUC5AC遺伝子の産生はIL-17A欠損マウスでは認められず, ステロイド(dexamethasone;DEX)の投与によってその発現亢進が抑制された. さらに, この結果と一致して, IL-17A欠損マウスでは粘液産生細胞である杯細胞の過形成もDEXにより抑制された. 一方, 喘息の病態形成に重要な役割を果たすIL-13等の Th2サイトカインの発現量や粘液産生のメディエーターとなるTGF-α等のEGFRリガンドの発現, ILC2の活性化因子であるTSLPやIL-33の発現は, IL-17Aの欠損の影 響を受けなかった. さらに, IL-17A欠損マウスで消失したステロイド抵抗性の粘液産生をIL-17Aの追加投与により再現できるかを検証した. その結果, IL-17A を追加投与したマウスでは, 粘液の産生および杯細胞の過形成はDEXで抑制されなかった. 一方, 本モデルにおける肺組織中の免疫細胞の解析から, IL-17Aの欠 損により喘息で特徴的な好酸球炎症に著明な変化はなく, わずかに誘導された好中球炎症の抑制が認められるが, これらはDEXの投与により完全に抑制されるこ とが明らかになった. また, モルモット気道上皮細胞を用いた杯細胞のin vitro ALI分化培養系を用いた解析から, IL-13単独で誘導した杯細胞の分化そのもの がステロイド抵抗性を示すことが示唆された.
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