低栄養状態の癌細胞でみられるAMPK/ATMを介した放射線抵抗性獲得機構の解明
Project/Area Number |
19K17128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
漆原 佑介 東北大学, 医学系研究科, 助教 (30722269)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 低栄養 / 放射線 / AMPK / ATM / DNA-PK / FOXO3 |
Outline of Research at the Start |
癌の放射線治療時には、臨床的な低酸素環境である低酸素+低栄養状態の癌細胞が放射線抵抗性を示すことが問題となるが、申請者らは、低栄養状態単独で細胞の放射線抵抗性が誘導され、低酸素+低栄養状態では低酸素状態と比較してより放射線抵抗性となることを報告した。さらに、低栄養状態では低酸素状態単独とは異なる放射線抵抗性獲得経路が働いていることを解明しつつある。 本研究では、ATMなどDNA二本鎖切断修復酵素及びその下流因子の低栄養状態及び低酸素+低栄養状態における影響を検討し、AMPK、ATMを介した放射線抵抗性獲得機構の分子機序の解明を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
がんの放射線治療時には、低酸素環境のがん細胞が放射線抵抗性を示すことが問題となるが、臨床的な低酸素環境は必ず低栄養状態であることから、低栄養環境における放射線抵抗性獲得メカニズムの解明が重要である。前年度までに、研究代表者らは、低栄養環境におけるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)が転写因子FOXO3を活性化し、FOXO3によるDNA修復酵素ATMやDNA-PKの活性化が起こっていることを明らかにしている。 本年度は、低栄養環境下におけるAMPKによるFOXO3を介したATM、DNA-PKの活性化が、放射線抵抗性にどのように関与しているかを明らかにするために、FOXO3機能阻害における低栄養環境下の放射線感受性とDNA修復の解析を行った。その結果、FOXO3の機能阻害では、低栄養環境下における放射線抵抗性がみられず、通常環境下と同程度の放射線感受性となることが明らかとなった。また、H2AXリン酸化を指標とした放射線照射後の残存DNA損傷の経時的な解析では、FOXO3の機能阻害によってコントロールに比べて長くDNA損傷が残り続けることが明らかとなった。これらの結果から、低栄養環境下ではFOXO3によるATM、DNA-PKの活性化が、DNA修復能を亢進させることで放射線抵抗性をもたらすことを初めて明らかにした。今後は、今回明らかになった低栄養環境における放射線抵抗性獲得メカニズムががん細胞共通の現象かどうかを明らかにするために複数のがん細胞を用いて解析するとともに、複数知られているDNA修復経路のどの経路が、低栄養環境で活性化するかを解析することで、低栄養環境における放射線抵抗性獲得メカニズムのより詳細な分子メカニズムの解明へとつながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、FOXO3を機能阻害することで、低栄養環境下においてDNA損傷の修復が遅延すること、またFOXO3機能阻害によって放射線感受性となることを明らかにした。これらの結果は、FOXO3がATM、DNA-PKの活性化によってDNA修復能を亢進させ、放射線抵抗性をもたらすことを強く示唆する。低栄養環境における放射線抵抗性にFOXO3がDNA修復を介して関与していることは、今回初めて明らかとなったことであり、低栄養環境における放射線抵抗性獲得メカニズムの解明に向けた意義深い成果である。 これらの結果は、研究計画における本年度目標である、「FOXO3およびATM、DNA-PKが低栄養環境においてどのように放射線抵抗性に関与しているのかを解析する」をクリアしていることから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果として、低栄養環境下ではAMPKによるFOXO3を介したATM、DNA-PK活性化がDNA修復能を亢進させ、放射線抵抗性をもたらしていることを明らかにした。 今後の研究の推進方策として、AMPKによるFOXO3を介したDNA修復能の亢進が、複数存在するDNA損傷修復経路のどの経路を活性化によるものなのかを明らかにするために、各修復経路関連因子の挙動解析等を通して、より詳細な放射線抵抗性獲得メカニズムの解明を目指す。 また、今回明らかとなった低栄養環境下におけるAMPK、FOXO3を介した放射線抵抗性獲得メカニズムが、由来の異なる様々ながん細胞共通で生じる現象かを明らかにするために、複数種類のがん細胞においてAMPKやFOXO3、ATMといった関連因子の活性化状態や、各因子阻害によるDNA修復や放射線感受性への影響を解析する。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)
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[Presentation] X線照射で誘発される細胞死のイメージング解析2019
Author(s)
Yoshikazu Kuwahara, Kazuo Tomita, Yusuke Urushihara, Kento Igarashi, Tomoaki Sato, Keiji Kamijo, Akihiro Kurimasa, Manabu Fukumoto.
Organizer
日本放射線影響学会第62回大会
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Invited
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