包括的アプローチによる血管型エーラス・ダンロス症候群の分子遺伝学的発症機序の解明
Project/Area Number |
19K17795
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山口 智美 信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (90802835)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2019: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 血管型エーラス・ダンロス症候群 / 遺伝性結合組織疾患 / 次世代シークエンス / 分子遺伝学的発症機序 |
Outline of Research at the Start |
エーラス・ダンロス症候群(EDS)は皮膚・関節の過伸展性、各種組織の脆弱性を特徴とする遺伝性結合組織疾患である。その中で、血管型EDSは、動脈病変、S状結腸破裂、子宮破裂などの致命的な合併症を生じうる重症病型である。当センターでは、次世代シークエンス(NGS)を利用した血管型EDSのパネル解析を実施してきたが、その7割弱においては病的バリアントが検出されていない。本研究では、コピー数異常を含む構造異常、あるいは、イントロン深部・転写調節領域・他の遺伝子における病的バリアントの存在を想定した解析を行い、血管型EDSの分子遺伝学的発症機序の包括的解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
エーラス・ダンロス症候群(Ehlers-Danlos Syndrome; EDS)は皮膚の過伸展性、関節の過可動性、各種組織の脆弱性を特徴とする遺伝性結合組織疾患である。その中で、血管型EDSは、動脈病変、S状結腸破裂、子宮破裂などの致命的な合併症を生じうる重症病型である。信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センターでは、次世代シークエンス(Next generation sequencing; NGS)を利用した遺伝性結合組織疾患・原因遺伝子パネル解析(NGSパネル解析)を実施してきた。しかし、血管型EDSが疑われた患者のうちの7割弱において病的バリアントは検出されず、コピー数異常を含む構造異常、イントロン深部・転写調節領域・他の遺伝子における病的バリアントの存在が想定された。本研究は、NGSパネル解析陰性例に対する(1)NGSデータを用いたコピー数解析、(2)mRNA解析、(3)ロングリードNGSによる全ゲノム解析を通じて、血管型EDSの分子遺伝学的発症機序の包括的解明を目指している。 (1)コピー数解析:新たに69例を解析し、1例においてEDS関連遺伝子に遺伝子全域の1コピー減少を、1例においてEDS関連遺伝子に一部エクソンの1コピー増加を認めた。いずれもMLPA法による検証を行い、コピー数異常を確定した。血管型EDSにおけるNGSパネル解析結果(NGSデータを用いたコピー数解析結果を含む)についてまとめた論文が国際誌に掲載された。 (2)mRNA解析:イントロン深部や転写調節領域のバリアント検出、メチル化解析への利用を想定し、新規患者の皮膚線維芽細胞培養を実施した。保管検体と併せ、RNA抽出、DNA抽出を行った。 (3)ロングリードNGS解析:培養皮膚線維芽細胞が得られない検体に対し、ゲノムDNAを用いたイントロン深部や転写調節領域のバリアント検出への利用を計画した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)コピー数解析:435例を解析し、8例においてEDS関連遺伝子にコピー数異常を認めた(一部エクソンに増減を認めた4例と遺伝子全域で増減を認めた4例)。MLPA法による検証を行い、コピー数異常を確定した。血管型EDSにおけるNGSパネル解析結果(NGSデータを用いたコピー数解析結果を含む)についてまとめた論文が国際誌に掲載された。 (2)mRNA解析:皮膚線維芽細胞保管検体の選定および新規皮膚検体からの細胞培養を行った。イントロン深部や転写調節領域のバリアント検出を目的としてRNAを抽出し、それを用いた解析に着手した(逆転写後、Long-PCRを行い、MinIONを用いたロングリードNGSで解析)。DNAはメチル化解析を目的として抽出し、それを用いた解析の計画を立案した。 (3)ロングリードNGS解析: 上記コピー数解析において遺伝子全域でのコピー数増加を認めた1例についてはロングリードNGSを用いたゲノム構造解析を実施した(解析対象は全ゲノム)。その後、低コストで同時に多数の検体を解析するべく、解析対象を、Long-PCR産物あるいはCRISPR/Cas9システムで得られた産物に変更した。Long-PCR産物は、(2)で培養皮膚線維芽細胞が得られない検体に対し、ゲノムDNAを用いたイントロン深部や転写調節領域のバリアント検出への利用を計画している。CRISPR/Cas9システムで得られた産物は、遺伝子全域でのコピー数増加を認めたもう一方の例に対し、構造異常の解析を行う。両者とも解析中である。 2022年度、研究を円滑に進めることができなかったため、補助事業期間の再延長を申請し、承認を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
ロングリードNGS解析の対象を、Long-PCR産物あるいはCRISPR/Cas9システムで得られた産物としたことで、ロングリードNGS解析の活路を見出した。2023年度は、この方法を用いて、(1)病的バリアント未検出例のゲノムDNA解析、(2)病的バリアント未検出例のmRNA解析およびメチル化解析、(3)遺伝子全域でコピー数異常を認めている症例などに対するゲノム構造解析を実施する。NGSパネル解析の陰性症例に対するコピー数解析については、新たな症例を追加し、2023年度も継続して取り組む予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Comprehensive genetic screening for vascular Ehlers-Danlos syndrome through an amplification-based next generation sequencing system.2023
Author(s)
Yamaguchi T, Hayashi S, Hayashi D, Matsuyama T, Koitabashi N, Ogiwara K, Noda M, Nakada C, Fujiki S, Furutachi A, Tanabe Y, Yamanaka M, Ishikawa A, Mizukami M, Mizuguchi A, Sugiura K, Sumi M, Yamazawa H, Izawa A, Wada Y, Fujikawa T, Takiguchi Y, Wakui K, Takano K, Nishio S, Kosho T.
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Journal Title
Am J Med Genet A
Volume: 191
Issue: 1
Pages: 37-51
DOI
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Peer Reviewed / Open Access
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