Project/Area Number |
19K18038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55010:General surgery and pediatric surgery-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka City University (2019-2021) |
Principal Investigator |
浅野 有香 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 学外研究員 (10806376)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 乳癌 / アンドロゲン受容体 / 腫瘍微小環境 / 腫瘍免疫 / CDK4/6阻害剤 / アンドロゲン / トリプルネガティブ乳癌 |
Outline of Research at the Start |
乳癌の多くはエストロゲン依存性の増殖を示すことは知られているものの,同じ性ステロイドホルモンであるアンドロゲンの意義については不明な点が多い.またステロイドホルモンの局所合成機構は,癌にとって有利な腫瘍微小環境 (TME) を形成しており,薬物療法の修飾によるTMEのダイナミックな変化は,治療効果や予後を予測する上で重要な鍵となるものと考えられる.本研究では,TMEにおけるアンドロゲン作用の分子機構の解明やCDK4/6阻害剤によるTMEのダイナミックな変化について,トランスレーショナル研究の観点より検証していく.
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Outline of Annual Research Achievements |
乳癌の多くはエストロゲン依存性の増殖を示すことは知られているものの,同じ性ステロイドホルモンであるアンドロゲンの意義については不明な点が多い.申請者はこれまでにトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) におけるアンドロゲン受容体 (AR) 発現の意義を検証し,AR発現のあるTNBCは予後良好であるものの,化学療法感受性は低いことを明らかにしてきた.さらにAR-V7発現のある症例については,内分泌療法感受性が低く,化学療法の感受性が高い可能性を示した. またステロイドホルモンの局所合成機構は,癌にとって有利な腫瘍微小環境 (TME) を形成しており,薬物療法の修飾によるTMEのダイナミックな変化は治療効果や予後を予測する上で重要な鍵となるものと考えられる.一方で,エストロゲン受容体 (ER) 陽性乳癌において新たなkey drugであるCDK4/6阻害剤は,その臨床的有用性は示されているものの,基礎研究においてはTMEを悪化させてしまうという報告もある.そのためCDK4/6阻害剤投与後の後治療の選択は,今後取り組むべき臨床的課題である.CDK4/6阻害剤のシーケンシャル投与の有用性など,臨床的な検証結果は散見されるものの,現時点でエビデンスとしての確立はない. そこで本研究は,TMEにおけるアンドロゲン作用の分子機構の解明や,CDK4/6阻害剤の修飾によるTMEの動的変化をトランスレーショナル手法にて検証する.CDK4/6阻害剤の効果にAR発現はどのような関与を示すのかを明らかにしていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はTMEにおけるアンドロゲン作用の分子機構の解明やCDK4/6阻害剤によるTMEのダイナミックな変化を検証し,トランスレーショナル研究の観点から『アンドロゲンシグナリングから捉えたCDK4/6阻害剤による新たな乳癌治療戦略』の構築を目的とする.このようにCDK4/6阻害剤や抗アンドロゲン療法によるTMEの動的変化を様々な観点からアプローチし解明していくことで,新たな治療選択を探究することが本研究の特色であり,独創的かつ創造的なトランスレーショナル研究が展開されている. FACSを用いてMDA-MB-231-ARと親株に対して,CDK4/6阻害剤 (palbociclib, ribociclib, abemaciclib) がcell cycleやapoptosisに及ぼす影響を比較検討した.ホルモン依存性のTNBC細胞株では,親株と比較してCDK4/6阻害剤によりapoptosisの誘導が認められた. またCDK4/6阻害剤の耐性株の樹立に取り組み,palbociclibおよびabemaciclibの耐性株の樹立に成功した.これらの耐性株には交差耐性が認められなかった.また親株と耐性株を用いてメタ ボロミクスを行ったところ,palbociclibとabemaciclibの代謝経路では競合に差は認めらなかった.また乳酸/ピリルビン比の改善など,CDK4/6阻害剤により酸化的リン酸化により代謝競合が改善されることが明らかになった.これは新たな発見であり,CDK4/6阻害剤投与後の薬剤選択に大きな影響を与える可能性が示唆された.これらの研究結果から導かれる科学的知見を今後の臨床応用にリンクさせるべく,最終段階の調整をすすめていく.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果をもとに,本研究の総括をすすめていく.具体的には,実臨床にてCDK4/6阻害剤を用いた症例を抽出して,腫瘍微小環境の動的変化と臨床的有用性の相関を解析していく.それにより,CDK4/6阻害座の使いわけや逐次治療の可能性を明らかにすることができる.最終段階では,CDK4/6阻害剤の効果にAR発現はどのような関与を示すのかを検証する.
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