廃用性筋萎縮の発生に関わるミトコンドリア・小胞体膜接触領域の機能解明
Project/Area Number |
19K18501
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 56020:Orthopedics-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
杉浦 宏祐 徳島大学, 病院, 助教 (60837243)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 廃用性筋萎縮 / ミトコンドリア / Mitofusin-2 / MAM / エネルギー代謝 / 尾部懸垂 / 小胞体 / 酸化ストレス |
Outline of Research at the Start |
寝たきりなどの不活動により、骨格筋タンパクは分解され筋線維は萎縮する。筋萎縮は身体機能の低下を起こし、要介護や寝たきりを助長するため、老後の生活を豊かに送るために克服すべき課題である。先行研究から微小ストレス環境におけるミトコンドリアの形態異常や酸化ストレスの過剰な蓄積が骨格筋タンパクの分解や筋線維の萎縮に関係することが解明されている。さらに近年ミトコンドリアが様々な機能を有するために、小胞体間の接触領域(MAM)が重要な機能を担うことが分かりつつある。本研究は、微小ストレス環境下の筋細胞においてMAMで生じる現象を解析し、機械的ストレス感知機構としての機能を解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮発生時の機械ストレス感知機構において、ミトコンドリアと小胞体の近接領域であるMitochondrai-associated membrane(MAM)とそのアンカータンパク質であるMitofusin-2(MFN2)の機能に着目して検討した。 10日間の尾部懸垂による後肢免荷を行い廃用性筋萎縮を誘導した結果、ヒラメ筋において通常飼育群よりも筋萎縮誘導群で有意にMAMの形態数減少が確認された。 MAM構造の重要なアンカータンパク質であるMFN2が筋萎縮と関連しているかを解析するために、筋特異的MFN2欠損マウスを用いて同様の後肢免荷試験を行った。その結果MFN2欠損マウスは野生型マウスよりもヒラメ筋の筋萎縮が有意に増加した。また、MAM形態の変化について、MFN2欠損マウスのヒラメ筋は通常飼育環境では野生型マウスより有意に少ないのに比べ、後肢免荷後は野生型マウスに比較しても有意な変化は見られなかった。 また、経時的に筋萎縮誘導環境に晒された時のMAM形態について解析した。筋萎縮誘導1日後と10日後ではMFN2欠損マウス及び野生型マウスともに1日後でよりMAM数の減少が確認されたが野生型マウスにてより影響が大きく、MFN2は筋萎縮誘導初期のMAM構造の形態維持に重要な役割をしている可能性が指摘された。 現在、MAM形態に異常を来たしているMFN2欠損マウスの筋組織における代謝産物を検索してエネルギー代謝の特性の評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで後肢免荷試験を行い廃用性筋萎縮を誘導した結果、野生型マウスに比較して筋特異的MFN2欠損マウスではヒラメ筋の筋萎縮が進行する一方で、筋萎縮誘導慢性期におけるMAM数には有意な変化がなかった。一方で野生型マウスで筋萎縮誘導過程で経時的にMAM数の変化を確認すると、筋萎縮誘導初期では慢性期よりもより顕著にMAM数が減少することが明らかとなったが、筋特異的MFN2欠損マウスでは通常飼育状態から筋萎縮誘導過程でMAM数の変化が緩やかであることが明らかとなった。これはMFN2が筋萎縮誘導過程のMAM形態変化において一役を担っている可能性を示していると考えられる。 しかし同様の検討内容においても個体間での差異が大きいため実験に対するストレス耐性なども影響している可能性があり、実験日数の検討などで使用個体数が増えたため結果の解析、解釈に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査から筋萎縮誘導過程の特に初期においてMAM数の変化が野生型マウスでは見られ、筋特異的MFN2欠損マウスでは筋萎縮誘導前からMAM数が少ない影響もあり筋萎縮誘導過程においてMAM数の変化は野生型マウスほどは見られず、萎縮誘導初期のMAM形態変化にMFN2の機能の関与が考えられた。このため、MFN2発現の有無により骨格筋内でのエネルギー代謝がどのように変化しているのかを代謝産物の蓄積量や代謝酵素の発現量を解析して評価する予定である。
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Report
(4 results)
Research Products
(45 results)