Project/Area Number |
19K20093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59030:Physical education, and physical and health education-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 勇起 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 助教 (10635395)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 建機遠隔操作 / 身体性 / 運動主体感 / 身体所有感 / 動揺病 / 視覚 / 前庭感覚 / 感覚矛盾 / 体性感覚 / 遠隔操作 / 建機 |
Outline of Research at the Start |
我々の身体性は人工物にまで拡張することが、ラバーハンド錯覚などの研究により明らかになっている。他方、建設機械の遠隔操作に関する研究が行われているが、その場に存在しているような臨場感や没入感が得られず、作業効率が低下すると言われている。この原因は、身体性拡張の観点からは、遠隔操作の送受信信号の遅延や、体性感覚情報の不足により、運動主体感と身体所有感が喪失したためであると考えられる。そこで、本研究では、建機遠隔操作システムを構築し、伝送遅延や、体性感覚の提示などが身体性や作業効率などに与える影響を評価する。これにより、建機を自分の身体のように思い通り操作するための方法が明らかになる可能性がある。
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Outline of Annual Research Achievements |
建設技能者の不足の解消や,災害現場の二次災害防止などを目的として,建設機械の遠隔操作に関する研究開発が行われている.しかし,従来の建機遠隔操作システムの操縦座席は固定されているため,視覚からの運動情報と前庭感覚からの運動情報との間に矛盾が生じ,映像酔いの発症や操作性の低下が懸念されている.そこで本研究では,快適に操作可能な建機遠隔操作システムの実現を目指し,操縦座席を回転させることが,動揺病や操作性に与える影響を検証することを目的とした. 遠隔操作システムは,回転座席,ショベルカーのラジコン,ラジコンに取り付けたカメラ,ヘッドマウントディスプレイなどから構成された.被験者がコントローラーを操作すると,回転座席とラジコンが水平方向に同期して回転した.実験課題として,ショベルカーのバケットの中心を,±45°の位置に配置した目標物に合わせる位置決め課題を10分間行い,座席回転あり条件となし条件で動揺病と操作性を評価した.動揺病は,映像酔いのアンケートを用いて評価し,操作性は運動主体感(どれだけ自分の思い通りの操作ができたか)に関するアンケートを用いて評価した. その結果,座席回転なし条件で映像酔いが重症化した人は,映像酔いが重症化しなかった人と比較して,座席回転あり条件で映像酔いが有意に軽症化する傾向があった.また,運動主体感の値は,座席回転あり条件では 0よりも有意に大きくなったが,座席の回転なし条件では,0よりも有意に大きくならなかった. これらの結果は,建機遠隔操作において,座席回転なし条件で映像酔いが重症化した人のほうが,軽症である人よりも座席回転による動揺病の軽減効果が期待できることを示唆している.また,座席回転あり条件では運動主体感が生じる可能性を示唆している.本研究より,座席回転によって,建機遠隔操作システムの操作快適性が向上する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症に伴う入構制限などにより,建機遠隔操作システムの開発や,被検者実験に遅延が生じ,2020年度に実施した実験の研究成果を学会などで発表することが出来なかった.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施した実験の研究成果を,学会(日本神経科学大会)や,ジャーナル(Frontiers in Virtual Reality)などで発表する.また,必要に応じて,建機遠隔操作システムの改良や,追加の被検者実験を実施する予定である. 2020年度に作成した建機遠隔操作システムは,回転座席,ショベルカーのラジコン,ラジコンに取り付けたカメラ,ヘッドマウントディスプレイなどから構成されたが,操作快適性のさらなる向上を目指し,操縦座席の回転が,動揺病や操作性に与える影響を検証するためには,いくつかの課題があること明らかになった. ショベルカーのラジコンに取り付けたカメラ映像は,ソフトウェアを介してヘッドマウントディスプレイ(HMD)に提示されたが,ヘッドマウントディスプレイは,重量が重く(665 g)また,カメラ映像の表示領域が狭いため,十分な操作快適性・没入感が得られなかった可能性がある.HMDの代わりに軽量なスマートグラス(100 g程度)などを使用し,また,映像の表示領域を拡張することで,高い操作快適性・没入感が得られる可能性がある. また,ショベルカーのラジコンと,回転座席を同期して動作させたが,時間の経過とともに,両者の回転角度に誤差が生じた.角度誤差を軽減させることで,視覚からの運動情報と前庭感覚からの運動情報との間の矛盾が軽減し,映像酔いや操作性がさらに改善する可能性がある. 2020年度の実験の結果,建機遠隔操作において,座席回転なし条件で映像酔いが重症化した人のほうが,軽症である人よりも座席回転による動揺病の軽減効果が期待できることが示唆されたが,被験者数を増やすことで,より明確な知見を得ることができる.
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)