環境変動下の社会・生態レジリエンス:モンゴル牧民の移動に着目して
Project/Area Number |
19K20487
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柿沼 薫 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (20773401)
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Project Period (FY) |
2020-03-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 極端現象 / 影響評価 / 脆弱性 / 遊牧 / 社会ー生態システム / 極端な気象現象 / レジリエンス / モンゴル / 雪害 |
Outline of Research at the Start |
気候変動下の持続的資源管理の実現は、人類が直面する重要な課題の一つである。このとき、環境変動に対する生態系や社会の回復力(レジリエンス)を考慮することの重要性が指摘されている。しかし、社会と生態系のレジリエンスはしばしば個別に焦点を当てられ、両者を動的に捉えることができていなかった。本研究では社会と生態系をつなぐ要因として、モンゴル遊牧民の多様な移動戦略に着目し、環境変動下の社会と生態系のレジリエンス評価を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、牧畜システムの雪害に対する脆弱性と回復力について、モンゴル・ドントゴビ県を対象に、より詳細な解析を実施した。具体的には、2009年に発生した雪害に対する各世帯における家畜頭数の応答を検証した。モンゴルの遊牧研究では、家畜頭数が経済指標としてよく利用されることから、本研究では世帯が所有する家畜頭数が各世帯の経済状況を表していると想定した。まず、2004-2013年の約750世帯の長期家畜頭数パネルデータを利用し、経済格差(ジニ係数)を計算した。その結果、雪害前後でジニ係数は大幅に上昇し、雪害が世帯間の格差を拡大していることが明らかになった。この結果は、牧民世帯間で雪害に対する脆弱性が異なることを示しており、とくに家畜頭数が少ない世帯は家畜を多く失っており脆弱性が高かった。さらに、雪害後の家畜頭数の回復を検証したところ、回復力が高い世帯グループは、回復力が低い世帯グループに比べ、家畜の損失割合が高かった。つまり、雪害に対する脆弱性が高いと、回復力が低いことが示唆された。雪害後4年で調査地全体の家畜頭数は災害前の水準まで増加したが、世帯間の格差は拡大したことを実証的に示した。以上の結果から、極端な気象現象の影響を評価するには、全体の損失だけでなく、世帯別の多様な応答を検証することの重要性が示された。さらに、極端気象に対する脆弱性の低下と回復力を維持するためには、平時から極端気象に備え、災害時の各世帯の損失を小さくすることが重要と考えられた。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)