Project/Area Number |
19K20555
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Kyoto Women's University (2022-2023) Niigata University of International and Information Studies (2019-2021) |
Principal Investigator |
佐藤 若菜 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (90788928)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 手仕事 / 民族衣装 / 製作 / 技術 / ミャオ族 / 少数民族 / 中国 / 女性 / 刺繍 / 技法 |
Outline of Research at the Start |
中国西南部の貴州省に暮らすミャオ族女性の民族衣装には刺繍がほどこされており、それらは現在も手作りされている。本研究においては、これまでの調査・研究で明らかにした衣装製作の工程やその技法を踏まえて、ミャオ族女性にとって「衣装を製作すること」や「刺繍技法を習得していること」が、どのような意味合いを有するのかを明らかにする。特に1970年代以降、盛装にほどこされる刺繍の技法がミャオ族女性に普及するなかで、これらの意味合いがどのように変化したのかを考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中国貴州省のミャオ族女性による衣装製作が、当該社会においてどのような意味合いを有してきたのか、その内実と変化を捉えることにある。1980年代以降、威信財としての民族衣装がミャオ族女性全体に普及するなかで、それを製作することや製作技法を習得していることは、ミャオ族の社会や女性によっていかに位置づけられてきたのかを検討してきた。 初年度には、これまでの調査データをまとめて単著を出版し、衣装製作における分業化の進行と製作を通した女性の社会的評価(賢さ)について明らかにした。2020年度には、ミャオ族と他民族との関係や他民族への製作委託の現状について検討し、これに関する論文を学会誌『アジア民族文化研究』と英語書籍に寄稿し、前者は掲載・出版された。ミャオ族において衣装製作に長けていることは「賢い」と評価されるものの、一部では漢族といった他民族に衣装製作を委託していることを明らかにした。2023年度には、ミャオ族と他民族との関係を歴史資料からも分析し、学会で発表した。 2022-2023年度には、ミャオ族における機械刺繍の導入について分析し、衣装の大衆化に伴い、ミャオ族の衣装製作には異なる特徴を帯びた2つの手仕事(「手本の複製」と「見本からの創造」)が混在するようになったことを明らかにした。各刺繍の製作工程では、求められる能力が異なることを指摘したのである。2023年度には、この点をまとめた論文が、学会誌『文化人類学』に掲載された。 2020-2021年度には、展示品や商品としても扱われるようになった衣装について検討し、報告書と英語書籍(分担執筆)として公表した。2023年度には、衣装価値の変化をもたらした衣装収集について論文を執筆し、学会誌『arts/ 』に掲載された。このほか冠婚葬祭での衣装のやりとりについてもまとめ『世界の冠婚葬祭事典』(丸善出版)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国への渡航にはビザの取得が必須となったこととも関連して、中国内陸部の少数民族地区である貴州省での調査は、現状、非常に困難である。2023年度も貴州省での調査を実施できなかった。だが、これまでの調査データを再度整理することによって、ミャオ族による衣装製作の変化(分業化、他民族への委託、機械化)とその社会的な評価について執筆し、公表してきた。2023年度には、議論をさらに進めて、手仕事の様々な性質について、査読つき論文としてまとめることができた。衣装の製作にも深く関わる、衣装の価値についてもその歴史的な変遷を論文にまとめることができた。以上のことから「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2019度と2021年度に実施予定だった中国貴州省での調査を2024年度に実施することを視野に入れつつ、中国国外に暮らすミャオ族へのインタビューも試みる。その際も、元々の計画にもとづき、ミャオ族女性を対象に、年齢・出身地・母親の出身地・就学年数・出稼ぎでの就労年数・経済状況などに加え、習得している刺繍技法とその習得時期や習得過程を、聞き取り調査によって詳細に把握する。また、姉妹間や母子間、親戚間、隣人間ないし異民族間での製作委託や分業化の実態についても調査を行う予定である。 同時に、これまで注目されてこなかったミャオ族の衣装(頭布)に関する論考や刺繍制作における図案の創造に関する論考、女性の「賢さ」に関する英語論文を執筆し、投稿する予定である。また、ミャオ族と他民族との関係について歴史資料から分析した論考も完成させる。さらに、中国国内の民族衣装展示の歴史についても執筆する予定である。
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