Project/Area Number |
19K20621
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 90010:Design-related
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
高橋 雄三 広島市立大学, 情報科学研究科, 助教 (30326425)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 人間工学 / 仮現運動 / 主観的輪郭 / 視線カスケード / 視空間の歪み / 瞳孔反応 / 視線カスケード現象 / 認知科学 / インタフェース・デザイン |
Outline of Research at the Start |
近年,視野内に運動していると認知される,実際には運動していない物体を知覚すると背景となる視空間が歪んで知覚される現象が報告されている.この現象は視野内に運動する物体を配置しなくても,操作者の使う表示器・操作器の周りの華燭が操作者の動作に呼応して発生すると考えられている. そこで本研究では,表示器・操作器の周りの華燭に起因して発生する仮現運動の誘発条件を検証し,ランプ等の表示器やボタン等の操作器のデザインとその空間配置が対象の空間的な位置に関する認知を歪ませる仮現運動誘発条件を明らかにし,不適切な華燭による仮現運動を抑制するインタフェース・デザインのガイドラインを提案することを目的とする.
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は令和4年度中に実施した予備的に行った実験の検討(データ精度、新型コロナウイルス感染症感染対策,新規実験環境の構築など)並びの学会における研究発表や専門家(眼球運動・瞳孔径の変動に関する生理心理学の専門家並び仮現運動を用いた画像生成に関する知見を有する技術者など)とのディスカッションを通じて,眼球運動・瞳孔径の変動におけるデータ精度の設定に関する問題点や臨界H/V(注視対象の縦方向と横方向の運動転換点・両義的運動の知覚領域)の比の値の変動がプライミング効果(先行刺激の影響を受けるなど)を受けているかの検証を行った.特に,本研究では多くの先行研究と異なり,臨界H/Vを誘発するために注視ターゲット間距離を連続的に変化させたことの影響について実験動画の視聴に基づく定性的な検討を行った.併せて,データ精度に問題が残る(実験画像のフレームレート(整数)と眼球運動・瞳孔径の測定精度)ものの実験時に採取したこれらのデータを俯瞰的に検討したところ,仮現運動時でも通常時の動画提示時の眼球運動(別の研究における実験の結果)との間に明確な差異が確認できなかったものの,臨界H/V付近では眼球運動の運動方向が乱れ,瞳孔径の変化がプラトー化する減少が数例,確認できた.先行研究における視空間の歪みはオーバーシュートによる注視位置精度の修正にマイクロサッケードが関与しており,その運動方向は注視ターゲットの運動方向と同一であった点でを考慮すると,視空間の歪みはマイクロサッケードまたは修正サッケードへの生理学的妨害の関与がある可能性が推定できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では計画している実験において,(1)機器の共有(眼球運動・瞳孔径測定装置入力装置など)と(2) 実験者と参加者との間のソーシャルディスタンスの確保並びに近接時間の短縮が困難(測定装置の装着並びに装着機器の調整など)である.代替装置の準備・購入や代替パラメータへの変更,新規実験環境の再構築など,代替実験への変更や実験者・参加者双方のワクチン接種者に限定した実験の実施を検討した。しかし,当初計画に基づくすべてのパラメータの採取に至る実験は実現できなかったものの,令和4年度中に仮現運動中の各種心理反応や眼球運動・瞳孔径の測定に関する予備的な実験を実施することができた。しかし,眼球運動・瞳孔径の測定に関し,一部のデータ精度に問題が確認されたため,その解消に時間を費やした.併せて,緊急事態宣言またはまん延防止等重点措置の解除期間中もワクチン未接種者が多く,さらに感染予防策として被験者に行動制限(感染者拡大地域との往来制限や10日程度の飲酒提供店への入店制限など)を参加者に強いることとなることから,上記の状況を総合的に判断し,予定数の参加者を要する実験そのものの実施を停止することとしたため,研究の進捗が遅れることとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は令和5年度までに実施することができなかった当初計画に近い検証実験を実施し,仮現運動による視知覚空間の歪みの原因について,当初計画における眼球運動パラメーターに加えて,瞳孔反応(縮瞳,散瞳とその勾配)の観点からも検討する.また,刺激人物の描画方法や性別など,刺激側の因子において,今まで用いてきた刺激では部位の運動の強度が弱いことも示唆されてきたことから,刺激については新たに作成する.特に,参加者に提示する刺激の種類については,仮現運動とCGの比較に重点を置き,令和5年度に検討した提示される仮現運動と知覚される仮現運動の主観的な転換点(臨界H/V比)の発生する時間付近の眼球運動・瞳孔径諸特徴について検討し,モデル化を試み,「縮瞳-偏向注視-散瞳」行動モデルにおける縮瞳量と散瞳量が仮現運動の知覚強度に影響を及ぼし,この知覚強度が視知覚空間の歪みと関連する可能性について検討する. 感染収束が実感できる状況ではあるものの,新型コロナウイルス感染防止策について慎重を要することから,昨年度同様,感染拡大状況によってはシミュレーション研究への移行も視野に入れつつ,検証実験による知見に基づく,インタフェースデザインへのデザインガイドラインのための知見を収集することを目指す.
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