「クイア」な人類学の新たな展望:フランスのホモフォビア現象をめぐる人類学的考察
Project/Area Number |
19K21669
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 4:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
國弘 暁子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20434392)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | クィア / 同性婚 / キリスト教 / クイア / ジェンダー / 人類学 / フランス / マリアージュ / ファミリー / セクシュアリティ / 宗教 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、常識にとらわれることなく、不断に穿った見方をする人類学の「クイア」な研究姿勢を通じて、ゲイ・レズビアン、そしてクイア・スタディーズを人類学的に「クイア」に化していく道筋を具体的に提示し、「クイア人類学」の新たな方向づけを実証することを目的とする。調査対象地域として、フランス第二の都市リヨンを選定し、ホモフォビアを婉曲的に正当化させようとするカトリック教会の動きや、カトリックの司祭として同性愛の苦悩の問題にコミットする人々の動き、さらには、ムスリム移民としてフランスでの同性愛の問題に向き合う人々の動きの複数性に着目する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
クィア人類学と称する研究が増えているが、依然として、クィアの定義がゲイ・レズビアン・スタディースの継承であることを示すに留まっていることが問題視される。その原因は、クィアな姿勢が人類学的な研究姿勢と共通している点、つまり、常識にとらわれずに、不断に穿った見方をする姿勢を共有するにもかかわらず、その点が看過されているのではと問われている。本研究では、クィア理論と人類学との不可思議な共存関係を解消させて、人類学の「クイア」な研究姿勢を通じて、ゲイ・レズビアン、そしてクィア・スタディーズを人類学的に「クイア」に化していく道筋を具体的に提示し、「クイア人類学」の新たな方向づけを実証することを目指している。 具体的な作業としては、同性間の婚姻も認める民事婚 “Le Marriage Pour Tous” が2013年にスタートしたフランスにおいて、ホモフォビアを婉曲的に正当化するカトリック教会側にアプローチを行う。カトリックの教会ではいまだ同性間の婚姻に対する祝福を拒み続けているが、その理由は如何なるものか、さらに、ホモフォビアの側から生成されるゲイ・レズビアン、あるいはLGBTQの壁は如何なるものなのかを明らかにする。カトリック教会の活動に関しての現地調査は、フランス第二の都市リヨン市内で実施している。教会に所属する神父や、修道院の修道女が主導するキリスト教についての学びの中で、ジェンダーやセクシュアリティの問題がどのように語られ、解釈されるのか、さらに、ジェンダー、セクシュアリティにまつわる今日的なグローバル・コモンセンスとは、どのような齟齬を生じているのかを詳細に分析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度10月より、フランス、リヨン市内での現地調査を本格的に実施することができたのは大きな進展であった。とりわけ、カトリックの修道院での、聖書についての定例勉強会に、半年の間、毎回欠かさず参与し続けることによって、多くの知見を得ることができたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
フランス、リヨンでの現地調査データの分析を進めると同時に、さらなる先行研究の収集を行い、最終年度のまとめ作業を行う。
|
Report
(4 results)
Research Products
(3 results)