Study on the Schelling's Paradox of Global Warming and Altruism
Project/Area Number |
19K21706
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 7:Economics, business administration, and related fields
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
赤尾 健一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (30211692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厚見 恵一郎 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00257239)
山崎スコウ 竜二 大阪大学, 先導的学際研究機構, 特任講師(常勤) (10623746)
駒井 章治 東京国際工科専門職大学, 工科学部, 教授 (50420469)
千葉 清史 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (60646090)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 世代間衡平 / 地球温暖化問題 / 超長期問題 / 徳倫理学 / 脳科学 / 世代間利他主義 |
Outline of Research at the Start |
地球温暖化対策は、将来世代のための世代間利他主義に基づく行為である。そこで、本研究では、脳科学、哲学における自然主義的利他主義理解、徳倫理学における実践に基づく道徳形成といった諸研究を踏まえて、世代間利他主義の特質、世代内利他主義との異同を明らかにする。そのうえで、超長期の問題を扱うことのできる新たな選好や効用関数を検討する。本研究は、利他主義を一貫して実証的に考察し、将来世代の選好や効用関数を、現在世代によるパターナリスティックなものと見なす立場に立つ。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地球温暖化問題に代表される超長期の問題に対する我々の利他的選好について、脳科学、認知科学、徳倫理学、哲学、経済学からの学際的考察を行うことを通じて、伝統的に効用の無限流列への選好として表現されてきた経済動学モデルの効用関数に代わる新たな効用関数を提案することを課題としている。計画時点での重点事項として、世代間利他主義と世代内利他主義の違いを明らかにすること、地球温暖化問題の経済学への含意を得ることを挙げている。以上の課題に対して、昨年度に引き続き研究会の開催を通じて検討を加えてきた。
本年度は、これまでの研究をとりまとめる方向で研究を進めた。第1に、利他主義への理解として、社会選好効用(我々は利他的選好を持つ。経済学のオーソドックスなアプローチ)と社会厚生関数(選好と独立に社会のあり方についての見解を我々は持つ。Rawls-Harsanyi-Binmoreアプローチ)の2つのアプローチを区別し、それぞれの固有の問題、共通する問題、政策上の含意、世代内/世代間利他主義の違い等を考察した。たとえば世代間利他主義にかかわる前者の固有の問題として、時間非整合な選好が自然に現れる一方で、社会に対しては合理性=時間整合性を求める(ように思われる)ことをどう理解するかが問われる。この問題は、社会厚生関数アプローチでは自身の選好と社会の仕組みに対する選好が独立であるため生じないが、社会厚生関数の普遍性をどのように確保するかという長く論じられてきた問題を処理しなければならない。第2に、世代間利他主義への自然主義的探究として、生理学としての脳科学およびAltruistic Brain Theory (Pfaff, 2015) と本研究課題の関係について総括し、またメンタライゼイションとコミュニケーションに関する認知実験の結果をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由:本研究が設定した問いに対して、検証可能な命題に繋がりうる一定の答えを得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.社会選好効用アプローチと社会厚生関数アプローチはそのいずれかを選ぶものではなく、前者は主体の行動を説明し、後者は制度的に設定された公的言説表明の場でいかに制度、政策が選ばれるかを説明するものと考える。この仮説がどのように検証できるかを考察して、本研究にいったん区切りをつけるとともに、次の研究への準備としたい。 2.想像もつかない遠い将来世代に対して、いかにしてわれわれが利他的意識を持つのか、持ちうるのか、また遠い将来世代を含む社会厚生関数として、どのようなものをわれわれは考えているのか、という2つの実証的研究課題に対する分析アプローチを考察する。それをもって、本研究課題の次のステップへの準備としたい。
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Report
(4 results)
Research Products
(3 results)