核シッフモーメントの電子遮蔽効果:相対論的量子化学計算による高精度予測
Project/Area Number |
19K22171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 32:Physical chemistry, functional solid state chemistry, and related fields
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
波田 雅彦 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (20228480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 穣里 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (60534485)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2019: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | 核シッフモーメント / CP対称性破れ / 相対論効果 / 化学シフト / 遷移金属錯体 / シッフモーメント / QED効果 / 磁気遮蔽定数 / 相対論的量子化学 / 原子核サイズ / CP対称性非保存 / 核の永久双極子モーメント / 磁場 / 核磁気共鳴 |
Outline of Research at the Start |
物理現象の非対称性はノーベル賞物理学者である小林・益川らの理論で予測する値よりも大きなものであることが他の幾つかの理論によって推測されている。実験的な検証は極めて困難であり未だに達成されていない。近年では分子を使った物理化学現象からこの非対称性を観測する方法が模索されている。我々理論化学者は、原子核の歪みがどのように分子の性質に反映するかを、「相対論的量子化学計算」を用いて予測する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2原子分子を用いて電子や原子核の電気双極子モーメント(EDM)の観測がなされている。これらのEDMはCP対称性破れの証拠となるため注目されている。分子中の基本粒子のEDMを求めるには、高感度な実験に加えて、相対論的電子状態理論に基づく理論値の計算が必要である。本研究では、反磁性分子で観測可能な原子核EDMの主要な要因の一つである、核のシッフモーメント(NSM)に対する電子状態項F(r)(rは核中心からの距離)を表現する方法の開発に取り扱かった。 NSMは、CP対称性を破る相互作用により、原子核内の電荷分布が球対称からずれることで生じる。従来の電子状態項では、核上の電子密度の微分値(X)という近似表現が用いられてきた。本研究では、Gauss型基底を用いた電子状態項の厳密表現を用いて、適切な近似表現を検討した。対象とした分子は、重原子を含む2原子分子 TlF, HgF+、HgO, RaO であり、計算方法はDirac-Coulomb-Fockである。電子状態計算の結果から、NSMの電子状態項を算出した。基底関数の依存性が大きいので、基底関数の選択についても検討を加えた。基底関数としては、核内部についても表現できるように、even-temperedの規定を用いた、計算されたNSMの電子状態項をFittingするために、原点、若しくは原子核半径でのテーラー展開や最小二乗法近似を採用した。最小二乗法近似の場合、原子核内部の電気状態項を全体的にバランスよく再現できた。これにより、従来表現に比べて平均絶対誤差は約1/20に減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため共同研究者との対面での綿密な議論が不十分であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究者との議論を進めて研究のまとめと論文化を進める。
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Report
(4 results)
Research Products
(44 results)