Project/Area Number |
19K23002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 晋太郎 京都大学, 文学研究科, 技術補佐員 (30849302)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2020-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 社会存在論 / 推論主義 / 社会制度 / 共同志向性 / 共同的コミットメント / 規範性 / ブランダム / 制度 |
Outline of Research at the Start |
本研究は「社会制度の構築において言語はいかなる役割を果たしているのか?」という問いに対して「社会存在論」と「推論主義」を統合した「推論主義的な社会存在論」によって答えることを目的とする。制度構築の場面では言語の機能のなかでも「推論」の重要性が明らかになるはずだが、これは言語の「表象」機能がもっぱら強調されてきた従来の社会存在論にはみられないものである。本研究からは付随的に「人は表象的なシンボルのみならず推論する能力を獲得してはじめて制度を構築できる」という自然科学的に検証可能な仮説が導けるため、進化生物学、霊長類学、発達心理学などの分野にも具体的なリサーチ・プロジェクトを提供しうる。
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Outline of Annual Research Achievements |
「社会制度」はいかにして創造・維持されるのか。研究代表者は「社会存在論」と「推論主義」を統合した「推論主義的な社会存在論」を構築することを通してこの問題に答えようという長期的な計画がある。本研究はその第一歩を進めるものである。 本年度は「共同志向性を推論主義的に説明すること」に取り組んだ。社会制度の創造には「みんなで何かとみなす」という「共同志向性」が不可欠であり、共同志向性には規範性があるとされる(みんなである紙を1000円札とみなすことによって貨幣は成立し、一度みんなでそうみなしたなら特別な理由がない限り1000円札とみなし続けなければならない)。しかし現状の社会存在論ではこの共同志向性の規範性を上手く扱えない。そこでまず推論主義の基礎概念「コミットメント」に「個人的/共同的」の区別を導入し、「共同志向性=共同的コミットメント」と捉えた。その上で「共同的コミットメントには規範性が必然的に伴う」とするマーガレット・ギルバートの議論を参考に、共同的コミットメントを「複数の主体に引き受けられ、かつ、各々の主体のコミットメントの引き受けが互いに相手のコミットメントの引き受けに依存するもの」と規定した。こうして「複数の主体が共同的コミットメントを引き受ければ、互いにコミットし続けるよう強制する」と規範性が説明できるようになる。 本研究は2019年8月30日に開始され、これまでの研究期間は6ヶ月程度のため、以上の研究成果は論文や学会発表などの形にはできていない。今後、(現在執筆中の)書籍や学会発表などを通して積極的に公開していく予定である。 なお2020年度からは特別研究員奨励費(PD)を受給するため、重複制限により本研究課題は廃止する。特別研究員の研究課題は本研究と密接に関連したものであるため、これまでの研究成果を十分にいかすことができる。
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