忘却と継承―中国古典怪奇小説集『聊斎志異』の日本受容史と「聊斎話」の再発見
Project/Area Number |
19K23075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0102:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
陳 潮涯 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (60845361)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 聊斎志異 / 受容 / アダプテーション / 翻案 / 日本戦後 / 武田泰淳 / 森敦 / ポップカルチャー / フェミニズム / 香港映画 / ソフトポルノ / 十三妹 / 戦う女 / 強い女 / 翻訳 / 大衆文化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ハイカルチャーから大衆文化に至るまで日本における中国怪奇説話集『聊斎志異』(清・蒲松齢)の受容研究である。まず日本各地図書館が所蔵する『聊斎志異』の版本を整理し、各版本の流通状況を解明する。続いて江戸後期から現在までの『聊斎志異』の翻訳書、研究書を収集し、整理し、『聊斎志異』の日本翻訳史をまとめる。最後は、大衆文化における『聊斎志異』のアダプテーションと「聊斎話」の例を見つけ出す。「聊斎話」とは、愛らしい妖精、狐、仙女が不遇な人間男子を愛する異類婚姻譚で、『聊斎志異』の最も評価されている部分である。「聊斎話」の受容と変形から、『聊斎志異』の隠れた影響力と日本人の中国認識を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2019年度と2020年度は『聊斎志異』と日本のポップカルチャーなどの諸問題について研究した。まずは、主に50年代から90年代前半まで公開された『聊斎志異』の相関映画と、これらの映画の製作背景、影響、評判を考察した。急速に拡大したビデオ市場を狙い、80年代後半から香港製作の『聊斎志異』の三級映画(ポルノ映画)は大量に日本に輸入されていた。その影響として、『聊斎志異』映画やビデオにおける性描写は、男性が性を主導する固有観念を破れ、セックスにおける男女差別を反論していたフェミニズムの風潮と合流した。この問題の延長線上に、フェミニズム要素が含まれる武田泰淳の武侠小説『十三妹』と『聊斎志異』との比較考察を行った。中国古典作品と日本の社会運動との関連性が注目され、中国古典がいかに時流に応じて利用されていたのかがわかった。最後は、『聊斎志異』の名編、「画皮」がいかに手塚治虫、水木しげるなどの漫画家に利用され、マンガ、アニメ、映画などの様々な大衆文化に定着したのかを中心にして考察を行った。
2021年度は、主にインテリにおける『聊斎志異』の理解をめっぐって研究した。70年代の日中関係変化とともに、本格化していく『聊斎志異』研究と、『聊斎志異』原典の話や趣旨から大幅に離れているアダプテーションは同時に存在しており、しかも両者の隔たりなしずれはどんどん大きくなる。そして、この相反する両者の間に挟まれているのは、古典中国だけではく、近現代の中国社会や文化もよく理解し、それを踏まえて『聊斎志異』を素材にして新たな「中国風」ファンタジーや冒険談を創作する文学者である。伴野朗の『聊斎志異』改作、『幽霊-私本聊斎志異』その好例として挙げられる。「黄英」をめぐって、太宰治の翻案「清貧譚」から伴野朗の「黄英」への変化を考察することによって、新たな時代における『聊斎志異』の翻案・受容の変化を窺うことができた。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)