感情と態度を表す日本語語彙文法の研究:言語使用域の多様性を通じて
Project/Area Number |
19K23097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0102:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
越智 綾子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, プロジェクト非常勤研究員 (50776119)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 日常会話コーパス / 文法 / 語彙 / 日本語 / 選択的機能言語学 / 感情 / 言語学 / 選択体系機能理論 / 言語使用域 / 語彙と文法 / 感情と態度 / 選択体系機能言語学 |
Outline of Research at the Start |
感情や態度などの意味は、精神医学やマーケティング分析等でその仕組みの理解が求められてきたが、言語学においては語彙をその意味に即して分類する研究が主流であり、それらの意味が文脈の中でどのような語彙-文法によって実現されるのかについての体系的な研究は行われていない。本研究では、選択体系機能言語学の観点から、様々な言語使用域における語彙-文法のプロファイルを作成・対照し、その類似点や差異についての考察を通じて感情を表わす日本語の語彙-文法体系の全体像を明らかにする。データに「大規模日常会話コーパス」と「現代日本語書き言葉均衡コーパス」を用いて質的かつ量的な分析を行い、再利用可能な言語資源を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、感情や態度を表す日本語の語彙文法の特徴について、選択機能文法理論の観点から包括的な記述を行うことである。本年度は、様々な年代によって書かれたテクストを分析する過程を通じて、これらの表現を理解するためには、まず、親子の日常会話のなかで子供がどのように感情や態度を表す語彙文法を習得してゆくのかを観察する必要性を理解した。感情や態度を表す表現は、言語のメタ機能においては対人的メタ機能に現れるが、大人による書き言葉の言語使用域においてよりメタフォリカルな形で現れ、子供による話し言葉の言語使用域において最もコングルエント(非メタフォリカル)な形で現れる。感情や態度を表す語彙文法を調べるにあたっては、コングルエントな表現が多く使用される言語使用域の観察から始めて、メタフォリカルな表現が多く使用される言語使用域の観察へ研究を進めて行くのが妥当であると考える。従って、日本語日常会話コーパスの親子の会話という言語使用域に焦点を絞って研究を進めていく。 当初は、申請書に記載した通り、複数の言語使用域における感情や態度を表す語彙文法を比較する予定であったが、むしろ親子の日常会話という一つの言語使用域に注目して、そこに現れる感情と態度を表す語彙文法を記述するとともに、その言語使用域における文脈的パラメーターを詳細に記述することによって、特定の語彙文法の選択がテクスト内でどのような意義を持つのかを言語的な証拠に基づいて体系的に示すことが可能になるという結論に達した。本年度のもう一つの成果は、選択体系機能言語学に基づく既存の日本語の文法記述の精査が進められたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
家族の介護に加えて8月中に看護が必要だったこと。また、予想以上に、既存の選択体系機能言語学の観点からの日本語文法記述(自分によるものも含めて)が、実際の分析に使用するに耐えうるものでなかったため、文法の記述を精査するという本研究に入る以前の段階の研究が必要となってそれに時間を要したこと。もう一つは、国語研でのプロジェクトと本研究との間で、時間配分のバランスがうまく取れなかったことだと思います。
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Strategy for Future Research Activity |
感情や態度を表す語彙文法を記述するにあたって、親子の日常会話という言語使用域を、その言語使用域を規定する文脈的なパラメータの詳細な記述を含めて記述する。使用するコーパスは、日常会話コーパスに限定し、さらに、その中で親子の日常会話を記録したデータを分析していく。
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Report
(4 results)
Research Products
(1 results)