Project/Area Number |
19KK0013
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 3:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
谷口 満 東北学院大学, アジア流域文化研究所, 客員研究員 (10113672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐川 正敏 東北学院大学, 文学部, 教授 (40170625)
下倉 渉 東北学院大学, 文学部, 教授 (40302062)
海老根 量介 学習院大学, 文学部, 准教授 (30736020)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥16,640,000 (Direct Cost: ¥12,800,000、Indirect Cost: ¥3,840,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2019: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | 周制都城プラン / 内城外郭式構造 / 三門制と五門制 / 後漢曹魏北魏洛陽城 / 前漢隋唐長安城 / 隋唐洛陽城 / 都城経済区の平面構造 / 地方中核城市の平面配置構造 / 先秦都城の内城構造 / 秦櫟陽城 / 秦咸陽城 / 前漢長安城 / 北魏洛陽城 / 都城の平面幾何学的中心点 / 都城全面積の基本単位 / 周制プラン / 内城・外郭配置 / 周原都城 / 三国曹魏の都城建設 / 三朝三門配置 / 座北朝南構造 / 唐長安城 / 内城外郭配置 / 三国曹魏都城 / 東魏北斉都城 / 五門三朝配置 / 韓日古代都城 / 内城外郭構造 / 後漢洛陽城 / 三国魏洛陽城 / 宗廟の位置 / 北魏唐の民族的系譜 / 中国都城遺跡 / 門朝構造 / 城郭構造 / 漢魏洛陽城 |
Outline of Research at the Start |
中国都城の平面プランは、唐の長安城にいたって、その理想型としてのプランがはじめて実現されたとされるが、本研究は、そこに至るまでの間に、歴代の王朝や諸侯国がどのようなプランを考え、またそれをどの程度まで実現したのか、その歴史的な経過を、二里頭(夏王朝)時代からはじめて、殷西周時代・春秋戦国時代・秦漢時代・魏晋南北朝時代、そして隋唐時代という、二千五百年のスパンでたどってみようとするものである。発掘・調査が続いている各都城の遺跡を、日本・中国の研究者で現地共同調査して、収集した最新の考古資料や現地に残る口承資料などでもって、各都城の平面プランを正確に復原するのが、とくに強調すべき方法である。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの活動を引継ぎ、本研究課題が対象としている二里頭遺址(夏王朝)から唐長安城にいたる中国歴代の都城遺跡について、最新の考古報告書を鋭意入手・整理するとともに、二里頭城址・偃師商城・漢魏洛陽城・隋唐洛陽城・前漢長安城・隋唐長安城の遺跡現地で日中双方の研究者による現地共同調査を実施して、いくつかの都城遺跡の平面配置構造を復原し、あわせて隋唐の長安・洛陽と地方の城市及びモンゴル・新疆・日本の都城遺跡を対象とする国際シンポジウムを北京で開催して研究を深化させ、その成果を公開した。(報告論文13篇は東北学院大学『アジア流域文化研究』15において全文を公表している)。本年度の研究活動によって得られた主な新知見は次の通りである。 1.先秦時代の都城は二里頭城址・偃師商城の段階からすでに内城外郭式構造をとっており、この点、鄭州商城の大城壁を内城壁と見なす意見には従いがたく、これは外郭壁と見なすべきであること。2.儒教経典に見られる周制都城プランは、まったくの架空プランではなく、先秦時代各都城の実際の構造と規模をかなりの程度反映したものであること。3.周制都城プランの内城構造は本来三門制であるが、後漢ごろから五門制とみる理解が登場して、以降両説が並存し、後漢・曹魏・北魏洛陽城では五門説が適用されたのに対して、前漢・隋唐長安城と隋唐洛陽城では三門説が適用されたと想定されること。4.唐洛陽城は一本の南北主軸線が内城・外郭の双方を貫く政治区=西半分と、やはり一本の南北主軸線が全域を貫く経済区としての東半分が結合された構造をとっていたと思われること。5.近年、地方政権の都城や地方中核城市の発掘・調査が進んでいるが、その官庁区域の平面配置構造は、長安・洛陽などの内城区域平面配置構造と基本的に類似していることを、考古資料によってあらためて確認しえたこと。以上の5点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の方法上の主旨は、日中双方の研究者による中国都城遺跡における現地共同調査であるが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、ここ4年半、一度も実施することができずに、資料収集というもっとも重要な作業において大きな空白が生じてしまっていた。ところが令和5年度中ごろから次第に渡航条件が緩和され、年度末の3月に代表者谷口満・分担者佐川正敏・同下倉渉が訪中して北京での共催国際シンポジウム「中国都城考古の新展開4―隋唐の都城及び周辺城市考古の新進展―」に出席するとともに、河南省・陝西省を訪問して、二里頭城址・偃師商城・漢魏洛陽城・隋唐洛陽城・前漢長安城・隋唐長安城の遺跡現地において共同調査を実施することができた。この現地共同調査において、たとえば前漢長安城未央宮遺跡各施設の配置をほぼ正確に復原しえたこと、漢魏洛陽城の大城壁は戦国時代の城壁をほぼそのまま利用しており、そのことが漢魏時代城壁の形状を決定づけていることを発掘現場において確認しえたこと、唐長安城の大明宮遺跡が三朝三門構造をとっていたことを施設復原現場において確認しえたこと、唐洛陽城の明堂-応天門-端門-定鼎門の北-南主軸線配置は、周制都城プランのそれを明らかに踏襲していることを施設復原現場において確認しえたことなどは、本研究課題の研究方法上の主旨が十分に発揮されたものであるということができる。4年半の空白が完全に埋められたわけではないけれども、この情況を考慮すれば、「(3)やや遅れている」と評価することはできない。 また、北京での共催国際シンポジウムでは発表者・参加者から数多くの考古新資料が写真・図版・地図付きで提供され、本研究課題の研究推進に大きな便宜が与えられることになった。 以上のことから、進捗状況を「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの蔓延によって研究活動に遅れが生じてしまっているけれども、日中双方の研究者による都城遺跡現地共同調査を主な研究手段に、中国歴代の都城について、その宮廟官寺・門朝城郭の平面配置構造を正確に復原しようとする本研究の課題になんら変更はなく、延長認可された最後の一年度(令和6年度)を最大限に活用して、所期の目的を実現すべく研究を推進する。もっとも、新型コロナウイルスによって失われた現地共同調査の機会を一年間で取りもどすのは不可能であり、したがって調査の対象を、山西省・山東省・江蘇省の三地区にしぼって実施する。 1.前漢長安城・後漢曹魏北魏洛陽城・隋唐長安城・隋唐洛陽城の主要4遺跡については、もっぱら現地研究者から提供される最新考古資料に依拠することとし、現地共同調査は実施しない。ただし、研究代表者谷口満は、洛陽の現地を訪問して最新の発掘情況を考察することにする。2.代表者谷口満と分担者海老根量介がそれぞれ山西省・山東省の先秦時代都城遺跡で現地の研究者と共同調査を実施する。3.前4回のシンポジウムを受けて、第5回の共催国際シンポジウムを揚州で開催するとともに、江蘇省のいくつかの都城遺跡において、代表者・分担者4名全員が参加して現地共同調査を実施する。4.中国側1名・日本側2名の研究者を東北学院大学に招致して、「中国歴代都城の平面配置構造を復原するにあたってのいくつかの問題」と題した公開学術シンポジウムを開催する。5.5年半におよぶ研究活動の成果を要約して、研究代表者が研究報告「中国歴代都城の平面配置構造を復原するにあたってのいくつかの問題」を執筆・公表する。6.大学院生に委嘱して、主要都城の最新平面復原図を集録した「中国都城考古復原図集録」などを作成する。
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