Project/Area Number |
19KK0023
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 4:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齋藤 剛 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (90508912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥山 純子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (10773864)
大坪 玲子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (20509286)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 移動 / 移民・難民 / 中東 / ムスリム / 故郷 / 知 / 民族誌的遭遇 / ポスト・アラブの春 / 文化人類学 / グローバル移動 / 民衆文化 / 教育 / 嗜好品 / 文化遺産 / 社会関係 / 人類学 / アラブの春 |
Outline of Research at the Start |
アラブの春以降、大規模な社会的・政治的変動に直面した中東諸国から大量の人々が域外に流出している。その直接的な影響を受けた欧州においては中東からの移民・難民の受け入れに強い関心の目が向けられ、研究が蓄積されてきている。これに対して、本研究課題は中東、アフリカ、アジアなどの欧州以外の諸地域にも及んでいる中東からの移民や難民が、移動に伴う人間関係の形成や人的交流を通じて、どのように新たな知識や宗教・民族をめぐる理解を形成するのか、そして彼らの移動が中東をはじめとした諸地域に何をもたらしたのかを、モロッコ、エジプト、レバノン、イエメン出身者を対象として解明しようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4(2022)年度には、中東系ムスリムの移民・難民の実態をめぐって研究分担者の大坪が沖縄、韓国などにおいて現地調査を実施するとともにその調査・研究の成果発表を行っている。研究分担者の鳥山は、海外分担者のレオン・ブスケンス(ライデン大学・教授)が所長を務めるオランダ・モロッコ研究所(The Netherlands Institute in Morocco、モロッコ・ラバト市)において調査・研究に従事した。鳥山が特に進めたのは、モロッコにおける教育制度、都市再開発についての調査である。研究代表者の齋藤は、本年度は、ベルベル人の間で広がっているアマズィグ運動においても重要な意味を持つ故郷なるものをめぐって研究を進めた。近年の人類学的研究、移民・難民研究においてはホーム・メイキングをめぐる研究が蓄積されているが、海外や国内の都市への移民の増加と新たな生活空間でのホーム・メイキングの動きがいかにして故郷なるものを変成させているのかという点に留意しつつ、その成果を発表している。また移民・難民と国民国家の関係をめぐる理論的検討を進める一環として、ガッサン・ハージが近著『オルター・ポリティクス』において提示した議論の内容を吟味した論考「もう一つの思考と政治に向けて:ガッサン・ハージの人類学を基礎づけるもの」を発表している。 令和4年度には、海外研究協力者のレオン・ブスケンスとともに、中東における人々の移動・遭遇・交流に伴う知の生成に焦点を定めた国際ワークショップをオランダ・モロッコ研究所において夏季および冬季に合計2回開催したほか、12月にはラインデンにおいても鳥山が中心となって国際ワークショップを開催している。オランダ・モロッコ研究所で開催された2件のワークショップの成果は、論文集として刊行を予定しており、すでに準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度には、レオン・ブスケンスを所長とするモロッコ・オランダ研究所(The Netherlands Institute in Morocco)において夏季および冬季に合計2回国際ワークショップを開催し、鳥山、齋藤が研究成果を発表している。また、これらのワークショップの研究成果を、イスラーム研究、中東研究の学術書の刊行で世界的に知られるオランダのBrill社から論集として刊行すべく打ち合わせを重ねている。加えて、次年度の夏季に国際ワークショップを開催することについても日程を含めてすでに準備を進めており、国際共同研究の強化と発展に順調な成果が認められる。 この他にも、エジプト・カイロ市を開催地として分担者の鳥山が中心となって国際ワークショップを開催している。鳥山は、上記以外にもオランダ・モロッコ研究所において複数回リサーチ・セミナーに参加・発表を行なっている。大坪は、韓国・朝鮮文化研究会や人間文化研究機構「グローバル地域研究推進事業」環インド洋地域研究・第1回国際シンポジウムにおいて、本年度の調査成果を含めた研究成果を発表している。齋藤も年度末に開催された国際会議において(Re)shaping homelandと題した故郷の再編をめぐる成果発表を行なっている。以上のように本年度は、研究班のメンバー全員が、研究成果の国際発信を数多く進めることができたほか、海外分担者であるレオン・ブスケンスを中心とした国際的な研究ネットワークの発展を進めることができた。また、2023年3月に刊行された論集『イスラーム・ジェンダーシリーズ 6 うつりゆく家族』において全員が論考を発表しているのをはじめとして、論考や図書の刊行も行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5(2023)年度には、令和4(2022)年度に引き続き、海外調査を実施する。大坪は、沖縄、韓国での調査を継続するほか、新型コロナウィルスの感染拡大前から計画をしていたマレーシア、エチオピアなどでのイエメン系移民・難民の調査を実施する予定である。鳥山は、エジプト、湾岸諸国、モロッコなどにおける女性の就労をめぐる調査を本年度は展開する予定である。齋藤は、モロッコ、フランスなどをまたぐアマズィグ運動の展開、モロッコ系移民のネットワークと故郷の再活性化に関わる活動について引き続き研究や、植民地支配期のベルベル研究と今日のアマズィグ運動の連関に関する研究を進める予定である。 令和5(2023)年度には、調査・研究成果の確認とさらなる進展のために国内研究会を組織するほか、夏季に国際ワークショップを、カウンターパートのレオン・ブスケンスが所長を務めるオランダ・モロッコ研究所(The Netherlands Institute in Morocco)において開催し、本研究班のメンバー全員がこれに参加をし、成果を発表する予定である。また、その成果論集の一端をオランダのBrill社から刊行するための準備を進めてゆく。また、大坪は、第19回 IUAES-WAU World Anthropology Congress (2023年10月14-20日、インド)において研究成果を発表する予定となっている。
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