Project/Area Number |
19KK0104
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 21:Electrical and electronic engineering and related fields
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
末益 崇 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40282339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 周太 関西大学, システム理工学部, 准教授 (00402553)
中堂 博之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (30455282)
柳原 英人 筑波大学, 数理物質系, 教授 (50302386)
奥村 宏典 筑波大学, 数理物質系, 助教 (80756750)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,330,000 (Direct Cost: ¥14,100,000、Indirect Cost: ¥4,230,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | スピントロニクス / フェリ磁性体 / 垂直磁気異方性 / 磁化補償 / スピントロ二クス / 磁壁 / 電流駆動磁壁移動 / スピン移行トルク / 電流誘起磁壁移動 / 第一原理計算 |
Outline of Research at the Start |
AIやビックデータ用に大容量で低消費電力のメモリーが必須であり、究極の情報記録素子として、電流駆動磁壁移動デバイスの研究が盛んに行われている。このデバイスでは、磁性細線の磁区の磁化方向を情報の0 又は 1に対応させ、磁区の境界である磁壁を電流で高速に移動して情報の書込み・読み出しを行う。このため、小さな電流で、つまり、小電力で高速の磁壁移動を達成することが求められる。申請者は、フェリ磁性体Mn4Nに注目し、比較的低い電流密度で900 m/sに達する超高速の磁壁移動を達成してきた。本研究では、フランス側研究者との共同研究により、Niを少量添加することで角運動量補償を達成し、格段の超高速駆動を実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでNiやCo等の遷移金属不純物をMn4Nにドープした薄膜を形成し、磁化補償組成近傍において、超高速の電流駆動磁壁移動を達成してきた。R4年度は、非磁性元素である金(Au)やスズ(Sn)をドーピングしたMn4N膜(厚さ約10nm)を分子線エピタキシー法により、チタン酸ストロンチウム基板上にエピタキシャル成長し、磁気輸送特性およびX線磁気円二色性(XMCD)測定結果から磁化補償の可能性について検討した。 室温での磁気輸送特性の測定から、AuをドープしたMn(4-x)Au(x)Nでは、Anの組成x=0.1と0.2の間で、異常ホール角の符号が反転した。また、SnをドープしたMn(4-y)Sn(x)Nでは、y=0.5と0.7で、さらに、y=0.7と1.0の間で、異常ホール角の符号が反転した。第一原理計算から、Mn4Nでは、面心サイトのMn原子がフェルミ準位での状態密度をほぼ占有するため、MこのMn原子が電気伝導を支配すると考えられる。このため、異常ホール角の符号反転は、少なくとも、面心サイトのMnの磁気モーメントが反転したことを示唆している。しかし、角サイトのMn原子の磁気モーメントについては情報が得られないため、角および面心サイトのMn原子について、磁気モーメントの方向を確認するためXMCD測定を室温で行った。 一方、Mn(4-y)Sn(x)Nでは、測定時に印加できる磁場では磁化が飽和しないため、測定には至らなかった。 測定の結果、AuをドープしたMn(4-x)Au(x)Nでは、Anの組成x=0.1と0.2の間で、角サイトのMn原子の磁気モーメントの方向は変わらないが、面心サイトのMnの磁気モーメントが反転し、角サイトのMn原子のそれと平行になることが分かった。このことは、非磁性元素のドープにもかかわらず、強磁性的な振る舞いに変化したことを示す結果であり、大変興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非磁性不純物(Au, Sn)を系統的にフェリ磁性体Mn4N膜にドープした試料を作製し、磁気特性を磁気輸送特性およびX線磁気円二色性特性を評価したことで、非磁性元素のドーピングにもかかわらず、2つのMnサイトの磁気モーメントが平行になる、つまり、強磁性的になるとの面白い現象を捉えた。以上のことから、本研究は、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の2点を中心に行う。 1.ドーピングする非磁性元素の種類を増やし、角および面心サイトのMn原子の磁気モーメントがどのように変化するか、系統的に調べる。 2.スピン移行トルクによる電流駆動磁壁移動を行った来たが、スピン軌道トルクによる電流駆動磁壁移動の可能性を探索する。そのためには。極薄膜のMn4N膜 を形成する必要がある。そのようなMn4N膜の形成条件を明らかにする。
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