Project/Area Number |
19KK0177
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 42:Veterinary medical science, animal science, and related fields
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
小出 剛 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 准教授 (20221955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 淨教 香川大学, 農学部, 准教授 (30739206)
村山 美穂 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (60293552)
松本 由樹 香川大学, 農学部, 准教授 (90335844)
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Project Period (FY) |
2019-10-07 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2019: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | マウス / 家畜化 / 神経回路 / 遺伝子発現 / 従順性 / グラスカッター / ヤマアラシ亜目 / 選択交配 / 遺伝子 |
Outline of Research at the Start |
西アフリカに生息する大型齧歯類グラスカッターは、現地の人々に食用として好まれて高値で取引されるため、野生個体の乱獲や捕獲のための森林放火、さらに野生個体を食することに伴う感染症リスクなどが問題点として指摘されている。そのため、飼育下での繁殖が望まれるが、家畜化がまだされていないことにより飼育は難しい。そこで、グラスカッターの家畜化プロジェクトを進める。そのために、研究代表者らがマウスで培ってきた選択交配による家畜化法を使い、扱いやすく繁殖の容易な集団を作出すると共に、グラスカッターの表現型、特に繁殖・行動・免疫・組織学的特徴について解析し、新たな実験動物としての可能性について検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトでは、研究代表者らがマウスを用いて確立してきた選択交配による家畜化法を用いて、グラスカッターの家畜化を進めると共に、その表現型、特に繁殖・行動・免疫・組織学的特徴について解析し、新たな実験動物としての可能性について検討するものである。 2023年度は、グラスカッターの全ゲノムシーケンスデータを用いて遺伝子のアノテーション解析結果をまとめると共に、グラスカッターが属するヤマアラシ亜目の動物種も含めて嗅覚受容体遺伝子、フェロモン受容体遺伝子、更に苦み感受性遺伝子について、ゲノム情報から同定し、その遺伝子数やパラログ及びオーソログ解析を進めた結果をまとめ、進化的解析を行った結果をまとめた論文について、査読者への対応を行った。論文は分子進化に関する国際的に著名な雑誌であるMolecular Biology and Evolutionに2023年2月に投稿したが、多岐にわたるコメントへの対応を進め、アクセプトされたのが2024年3月、公開は4月になった。 また、家畜化に関わる腸内細菌叢の解析については、マウスを材料として腸内細菌の解析を進めている。 ガーナ在来のグラスカッターの家畜化はガーナ大学との共同研究として継続している。家畜化を進めるために、ガーナ大学の飼育施設を用いて繁殖を行うと共に、生まれてきた個体についてはテームネス(従順性)についての行動テストにより個体の従順性を評価し、次の繁殖個体の選別に用いている。2023年度はガーナ(アフリカ中西部地域)を異常な干ばつが襲い、エサとなる草が不足して繁殖に影響が出た。2024年2月には、小出・村山・松本の3名がガーナを訪問し、繁殖状況の確認や今後の対応に関する議論を行うと共に、同国北西部の地域におけるグラスカッター農家の視察を行うと共に、ワークショップを開催し、情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていた、グラスカッターを含むヤマアラシ亜目の動物種における化学感覚受容体遺伝子の解析をまとめた論文の発表が完了した。予想よりも時間がかかったが、生物の進化に興味を持つ研究者がその研究成果を多く発表する本雑誌に無事に発表できたことは今後の研究の更なる発展につながると考えている。本論文の発表に際し、プレスリリースを行い、日本経済新聞の4月28日付朝刊で記事として紹介された。 また、家畜化に関する腸内細菌叢の解析では、マウスを用いて家畜化に関わる細菌を同定し、その機能解析を行った。その成果を論文としてまとめて、プレプリントサーバーに発表した(https://doi.org/10.1101/2024.03.11.584526)。 また、ガーナ大学における繁殖計画にあたって、グラスカッター31個体のゲノム情報に基づく多型情報を参考にして、今後の繁殖計画を立てている。このようにゲノム情報を実際に活用している点は評価に値すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ガーナ大学におけるグラスカッター個体の繁殖を軌道に乗せたいと考えている。2023年度は天候の影響により餌が不足する事態が生じたので、2024年度には餌となる草が得られる雨季の間に、ペレットの餌を作ることを検討している。 また、グラスカッター31個体のゲノム情報の解析をさらに進め、遺伝子レベルでの多型情報の解析を行う予定である。 家畜化に関する腸内細菌叢の解析では、マウスを用いて家畜化に関わる細菌を同定し、その機能解析を行った。その成果を論文としてまとめて発表した。今後は、グラスカッターの家畜化に関して、今回同定した細菌を活用できるか否か、様々な観点から検討する。
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