Indigenous Autonomy in Latin America
Project/Area Number |
19KK0325
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Politics
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
舟木 律子 中央大学, 商学部, 教授 (20580054)
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Project Period (FY) |
2019 – 2023
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
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Keywords | ラテンアメリカ / 先住民自治 / 自治制度 / 質的比較分析 / 制度運用 / 土地権 / 中米 / 先住民 |
Outline of Research at the Start |
ラテンアメリカ(ラ米)では1990年代以降「先住民自治の制度化」が進展し、2019年現在、同地域で先住民の自治権を憲法上で認めた国は10カ国に上る。だが、制度化を達成した国々のその後の経験が明らかになるにつれて、先住民自治の「制度と制度運用の間の乖離(Implementation gap)」の問題が看過できないレベルに達している状況が観察されるようになった。このため本研究では、先住民自治制度の制度運用促進条件を明らかにすることを目的とし、先住民自治を制度化したラ米10カ国を対象とする質的比較分析(fsQCA)によってこれを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、まず4月にカナダ・ヨーク大学、米州人権委員会・先住民の権利作業部会、および先住民問題国際NGO(IWGIA)とともに、中米の先住民問題をめぐる若年層のキーパーソンを対象として、1週間のワークショップEmancipatory Autonomies in Central America: A Knowledge-Exchange Workshop(中米における解放の自治、於コスタリカ)を開催した。ワークショップには、中米7カ国およびコロンビア、ボリビア、カナダ、アメリカから26名が参加し、中米および南米の先住民の自治を取り巻く最新の状況について報告があり、活発なディスカッションを実施することができた。また、開催地のコスタリカの先住民の土地権回復をめぐる近年の動向については、実際に当該の先住民共有地を参加者全員で訪問し、住民指導者の方達から話を聞くことができた。この国際ワークショップで深められた議論の記録は、今後ひろく先住民自治に関心を寄せる研究者、実務家、他地域の先住民コミュニティとも共有すべく報告書としてまとめ、2023年6月に電子書籍としてインターネット上に公開される予定である。 その後、2022年8月には、トロントにて開催されたカナダ・ラテンアメリカ学会(CALACS)に参加し、共同研究者およびワークショップ参加者とともにパネル報告を実施した。ここでは、報告では中米7カ国の先住民の土地権の登記状況についての調査結果を発表し、コスタリカ、グアテマラ、ニカラグアのパネリストからは、各国の具体的な状況に関する報告があり、ディスカッションで議論を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、コスタリカでの国際ワークショップを通して、本課題で取り組んだ先住民自治研究の書籍を、関連国際機関と、先住民組織のキーパーソンらとも共有でき、コロナ禍によって先延ばしとなっていた研究の社会還元のための活動を進めることができた。また同時に、中米・カリブの状況をより詳しく理解することができ、自身の研究の今後の方向性を考える上でも貴重な機会を得ることができた。具体的には、当初本研究課題では、憲法上の規定を基準に、先住民の土地権と自治権を認めているかという点を重視して対象国を選定していたが、この基準の再考が必要だと気づくに至った。具体的には、この基準に照らして当初の研究対象国から除外していたベリーズのように、憲法上は先住民の土地権も自治権も明文化されていない国であっても、国際法を梃子として国に対して裁判を起こし、現実に先住民の土地権を認めさせた事例が存在していたことを知った。このことは、先住民自治の重要な側面である「自治組織」の組織力が高い場合、国家の法制度上の特別な扱いがないことは、自治の実現に対して大きな妨げにならない可能性を示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
前項で述べたような研究上の気づき(憲法規定の有無にかかわらず、土地権と自治権が実現する事例の存在)と、本年度に構築できた中米先住民組織指導層とのネットワークを有効に活用し、今後は対象地域を一旦中米地域に絞りさらに実態調査を進めていく予定である。 また、2023年5月末のラテンアメリカ学会(LASA)で先住民アフロ系住民の土地権と自治に関するパネルの討論者として、本課題に関する最新の研究について学びつつ、それをさらに精緻化していくための議論に貢献したいと考えている。2023年6月初頭のカナダ・政治学会(CPSA)において、中米7カ国の先住民の土地権の運用実態についての、ここまでの調査をまとめた報告をする予定である。その後、2023年6月初旬に本年度開催した国際ワークショップの記録をまとめた電子書籍の発表に合わせたウェビナーを、ヨーク大学共同研究チームと、中米先住民組織参加者と共に実施する。また、2023年12月には、前回のワークショップにおいて重要テーマのひとつとして認識される海域における先住民の権利や、国境を挟んだ先住民の権利、アフロ系住民の権利に関連するセミナーを実施する方向で、共同研究者らと企画準備を進めているところである。
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Report
(4 results)
Research Products
(11 results)