難治性敗血症や虚血再灌流障害に対する新規核酸医薬を用いた応用研究
Project/Area Number |
19KK0413
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55060:Emergency medicine-related
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中竹 利知 関西医科大学, 医学部, 助教 (40779401)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥13,650,000 (Direct Cost: ¥10,500,000、Indirect Cost: ¥3,150,000)
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Keywords | センスオリゴヌクレオチド / 核酸医薬 / 敗血症 / 虚血再灌流障害 / iNOS / 一酸化窒素 / 非コードRNA / 難治性敗血症 |
Outline of Research at the Start |
敗血症や虚血再灌流障害に対して著効を示す薬剤はほとんどなく、新規治療法の開発が望まれる。病態の主原因は、TNF-αとNOの産生の亢進である。TNF-αやiNOSのメッセンジャーRNA (mRNA)発現を抑制し、両者の産生量を減少できれば治療に大きく寄与できると考える。申請者は肝障害敗血症モデルラットに対し、mRNAと同じ塩基配列を持つiNOSオリゴヌクレオチドを投与すると、肝臓内のiNOS mRNAレベルを抑制し、ラットの生存率が増加することを明らかにした。本研究は、国際共同研究先において敗血症ならびに虚血再還流ラットモデルを標的として、オリゴヌクレオチドの様々な疾患に対する有用性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
敗血症や虚血再灌流障害に対して著効を示す薬剤はほとんどなく、新規治療法の開発が望まれる。病態の主原因は、TNF-αとNOの産生の亢進である。TNF-αやiNOSのメッセンジャーRNA (mRNA)発現を抑制し、両者の産生量を減少できれば治療に大きく寄与できると考える。報告者は肝障害敗血症モデルラットに対し、mRNAと同じ塩基配列を持つiNOSオリゴヌクレオチド(SO1)を投与すると、肝臓内のiNOS mRNAレベルを抑制し、ラットの生存率が増加することを明らかにした。本研究は、国際共同研究先において、敗血症ならびに虚血再還流ラットモデルを標的として、オリゴヌクレオチドの様々な疾患に対する有用性を検討する。敗血症について(1)初代培養ラット肝細胞および肝障害敗血症ラットモデルを用いたSO1の改良、(2)既存の別機序による抗炎症効果のある薬物とSO1との併用効果の検討、(3)新規センスオリゴの開発、虚血再灌流障害について(4)肝虚血再灌流障害+肝切除モデルラットにおける検討、(5) Isolated Perfused Rat Liver装置を用いた肝移植モデルにおける検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)SO1に新たな化学修飾した改良型を作成した。炎症刺激によりiNOS mRNA発現が誘導されるラット初代培養肝細胞に導入したところ、プロトタイプのセンスオリゴと同等あるいはより強くiNOS mRNA発現を抑制した。(2)敗血症モデルラットに対して、SO1と遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM)の併用による生存率への影響等を調べ、併用療法による生存率の上昇を確認し、抗炎症効果に対する詳細な解析を完了した。(3)新たな遺伝子を阻害するセンスオリゴを設計した。敗血症モデルラットにセンスオリゴ投与し、効果検討を行った。(4)条件検討で得た複数の血流遮断時間と再灌流時間の条件下の肝臓サンプルのTotal RNAについて、網羅的mRNA発現のマイクロアレイ解析を実施した。発現変動の大きい遺伝子を選出し、iNOSを標的遺伝子とした。また肝障害誘導後の血液および肝組織の解析により、肝障害を示す血中の肝逸脱酵素活性やNO量が増加した。肝組織で炎症性サイトカイン・ケモカインなどの炎症関連遺伝子発現が上昇し、関連する転写因子NF-κBが活性化された。病理像から肝細胞および組織損傷や、アポトーシス、好中球浸潤が誘導されることが分かった。(5)ドナー肝を臓器保存液に浸して一定時間保存し、その門脈にSO1を投与した。肝臓へ生理的緩衝液を灌流させて冷虚血再灌流障害を誘導し、臓器と灌流緩衝液を採取した。肝臓組織において網羅的mRNAマイクロアレイ解析を実施した。発現変動の大きい遺伝子に、炎症関連のサイトカイン・ケモカインなどが多く見出され、抗酸化やヒートショックに関連する抗ストレス性の遺伝子も見出された。iNOSセンスオリゴを投与したところ、生理的緩衝液の肝逸脱酵素活性などの肝障害マーカーが低下し、iNOS mRNA発現が低下した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)続いて現在肝障害敗血症および回腸末端穿刺(CLP)ラットモデルにおいて検討する。生存実験および、投与後の肝臓を中心に遺伝子発現や病理学的な解析を行う。(2)新たな併用可能な薬品を探索する。(3) 新規センスオリゴのヒト配列化を目指す。(4) 今後、(1)で改良された改良型SO1を使用する。(5) IPRLモデルでの網羅的mRNA発現解析により発現変動が顕著であった遺伝子の発現をRT-PCRにより確認する。SO1の投与によりこれらの遺伝子の変動が抑制されるか検討し、SO1の肝保護効果にどのような経路関わる因子が関与するか、またはどのような機能を持つ因子が関与するか解明を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)