遺伝子改変マウス膵発癌モデルを用いた膵癌の腫瘍間質相互作用の解析
Project/Area Number |
20013011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊地知 秀明 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (70463841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 慎 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (40415956)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥6,600,000 (Direct Cost: ¥6,600,000)
Fiscal Year 2009: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2008: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
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Keywords | 膵癌 / 腫瘍間質相互作用 / 遺伝子改変マウス / 血管新生阻害 / Kras / TGF-beta / CXCケモカイン / CXCR2 |
Research Abstract |
我々の樹立した膵臓上皮特異的遺伝子改変マウス(遺伝子型Ptfla^<are/+> ; LSL-Kras^<G12D/+> ; Tgfbr2^<fl/fl>)は、間質の増生・線維化著明な管状腺癌を生じ、臨床の膵癌組織像の特徴をよく近似する。この豊富な間質の存在が膵癌の病態に深く関与していることが示唆される。前年度までに、本モデルの膵癌細胞が周囲の微小環境に対し複数のCXCケモカインを特徴的に分泌しており、このケモカインが膵線維芽細胞からのCTGF産生を誘導し、このような腫瘍間質相互作用が腫瘍の増大に促進的に作用することがわかった。また本モデルマウスにCXCR2阻害剤を投与することで有意な生存期間の延長が得られることもわかった。本年度におけるin vivoでの組織学的検索により、このCXCケモカイン/CXCR2 Axisの腫瘍促進効果は、腫瘍血管新生を介したものであり、CXCR2阻害剤投与によりCTGFの産生とマクロファージの腫瘍内浸潤が有意に抑制されていることがわかった。これらの結果から、CXCケモカイン/CXCR2 Axisの阻害は、膵癌の微小環境において腫瘍間質相互作用を阻害すると共に間質同士(線維芽細胞、マクロファージ、血管内皮)の連係をも阻害し、血管新生阻害による抗腫瘍効果を示すと考えられた。また、近年臨床的に実用化されつつあるマルチチロシンキナーゼ阻害剤にも血管新生阻害により本モデルマウスの生存を有意に延長させるものがあり、それはgemcitabineとの併用で更なる生存延長効果を示した。一方、gemcitabine単独投与も抗腫瘍効果を示し生存も延長させたが、血管新生は抑制されていなかった。したがって、gemcitabineと血管新生阻害作用薬とは抗腫瘍効果を示す機序が全く異なっており、その併用がより効果的な治療となる可能性があり、またCXCR2等が膵癌治療における重要な分子標的である可能性が示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)