Budget Amount *help |
¥10,600,000 (Direct Cost: ¥10,600,000)
Fiscal Year 2009: ¥5,100,000 (Direct Cost: ¥5,100,000)
Fiscal Year 2008: ¥5,500,000 (Direct Cost: ¥5,500,000)
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Research Abstract |
ヒト発癌要因の約30%は炎症・感染が占めている.この炎症や感染症を背景とした発癌を炎症発癌と呼ぶ.ヘリコバクター・ピロリ菌感染による胃発癌や,肝炎ウイルス感染による肝細胞発癌など炎症発癌の典型例にあるように,いずれも遷延した炎症反応が決定的な原因となる.報告者は,炎症発癌の動物モデルを作製し,好中球浸出とこれ由来の活性酸素が必須であることを証明してきた.これらの成果を鑑み,炎症細胞の局所浸出を制御する化合物を見いだすことができれば,炎症発癌そのものを阻止し得るという着想に至った.本研究は,炎症細胞の血管内皮細胞への接着と浸出をin vitroで評価できる解析系を構築し,これまでにがん特定領域・統合がん化学療法基盤情報支援班より提供を受けた約三百種にのぼる標準阻害化合物の中から,二十数種に炎症細胞の接着・浸出を阻害する化合物を見いだした.これらの間に炎症細胞浸出を共通に阻害する骨格構造を見いだすことはできなかった.そこで阻害活性の高い化合物から炎症発癌モデルを用いた発癌抑制作用を評価した結果,阻害効果が最大であった化合物Aの投与は炎症発癌を抑制した.この機構として,炎症局所への炎症細胞浸出が顕著に抑制されていることを確認した.化合物Aの投与の有無により発現の変動する遺伝子を包括的に把握するために,炎症局所および骨髄組織を用いたDNAマイクロアレイ解析を行った.その結果,炎症性サイトカインやケモカイン発現に変動を認めた.
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