Project/Area Number |
20016003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小嶋 徹也 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (80262153)
|
Project Period (FY) |
2008 – 2009
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
|
Budget Amount *help |
¥8,800,000 (Direct Cost: ¥8,800,000)
Fiscal Year 2009: ¥4,400,000 (Direct Cost: ¥4,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥4,400,000 (Direct Cost: ¥4,400,000)
|
Keywords | 昆虫 / 発現制御 / 発生・分化 / 付属肢 / 遺伝子ネットワーク |
Research Abstract |
真核多細胞生物の発生過程において、モルフォゲンシグナルによって誘導された領域特異的転写因子の下流の遺伝子ネットワークに迫るために、ショウジョウバエ成虫肢形成過程で領域特異的に発現する約1000遺伝子について、RNAiによる機能破壊を行った。その過程で、細胞周期制御因子であるCdc25のホモログをコードするstring(stg)が、発生途上の肢原基の将来の先付節領域で、細胞周期とは無関係に恒常的に発現しており、stgの機能阻害により先付節構造が欠損することを見出した。このstgの発現は、先付節領域を決定する転写因子であるAristaless,Clawless,Lim1により正に制御され、先付節領域と隣り合う付節領域を決定する転写因子Barにより負に制御されており、領域特異的転写因子の下流でその発現が制御されていることが明らかになった。StgはCdc2を脱リン酸化することで活性化して細胞周期制御を行っているが、cdc2の機能阻害では、stgとは異なり、肢の付節領域が融合してしまう表現型を示した。この表現型は、同時にstgの活性を阻害することで抑制され、肢原基におけるモルフォゲンシグナルであるEGFRシグナルが働く時期に機能阻害を行った時にのみあらわれ、さらに、その時にEGFRシグナルが抑制されていることを示唆するデーターも得られた。以上のことから、肢形成過程においては、stgやcdc2は従来の細胞周期制御とは異なる関係で、EGFRシグナルを制御していることが示唆された。この結果は、細胞周期制御とモルフォゲンシグナルの制御には密接な関係があり、細胞周期制御因子は単に細胞周期の制御をするだけでなく、モルフォゲンシグナルを何らかの別のメカニズムにより制御しているという、発生生物学上新しい概念につながるものと思われる。
|