エピソード記憶形成に関する海馬の数理モデルと実験的検証
Project/Area Number |
20019001
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田 一郎 Hokkaido University, 電子科学研究所, 教授 (10207384)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 稔 玉川大学, 工学部, 教授 (80074392)
|
Project Period (FY) |
2008 – 2009
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
|
Budget Amount *help |
¥7,500,000 (Direct Cost: ¥7,500,000)
Fiscal Year 2009: ¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 2008: ¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
|
Keywords | 脳・神経 / 複雑系科学 / 非線形科学 / カオス力学系 |
Research Abstract |
海馬CA1錐体細胞の2-コンパートメントモデルのダイナミクスとカントールコーディングに対するさまざまな外乱の影響を調べた。まず、この領域で知られている脳波に由来するγリズムやθリズムとこのコーディング方式との関係をみるために、CA3ネットワークモデルについての検討を行った。CA3ネットワークモデルを構築し、学習によってネットワークに埋め込まれた記憶間の動的な遷移過程におけるγ波とθ波の与える影響を調べた。ニューロンモデルとしては抽象的なニューロンモデルを使用してその特徴を抜き出したが、海馬でのθリズムとカントールコーディングとの関係を明らかにするためには生理学的なモデルを使用することの検討を加えているところである。結果を次に記す。入力はθ波とγ波をともに与えるがその位相をひとつのパラメーターとする。1. 抑制性ニューロンをθリズムに同期させて発火させたとき、θ入力と抑制間の時間差が30msec前後と200msec前後で入力間時間差がそれほど小さくないときにはθリズムに同期した記憶が想起されやすいがそれ以外の条件ではむしろγリズムに同期した記憶が想起されやすくなる。2. 抑制性ニューロンをγリズムに同期させて発火させた時、ほぼ入力時間差によらず、θ記憶かγ記憶かどちらが想起されるかがγ入力と抑制間の時間差に対して周期的に変化する。3. 抑制性ニューロンをθリズムと同期させたほうがγリズムで同期させた時よりも想起確率は高くなる。これらはまだ準備的な計算結果であるが、記憶想起にθリズムやγリズムの位相差が関係していることを示唆しており、抑制性ニューロンをθリズムで入力した場合のほうが想起確率が上がることは海馬において普遍的に観測されているθ波の役割を考える上でも重要な結果である。 さらに、前年度から始めている仮想的なベクトル測定を実データに当てはめて、カントール集合状の膜電位のクラスタリングの分離度を上げるテクニックを開発した。
|
Report
(2 results)
Research Products
(21 results)