Project/Area Number |
20019007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福土 審 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (80199249)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥7,600,000 (Direct Cost: ¥7,600,000)
Fiscal Year 2009: ¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2008: ¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
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Keywords | 内臓感覚 / 情動 / 島 / 眼窩前頭皮質 / PET / 局所脳血流量 / 5-HT_3受容体 / 扁桃体 / 前頭前野 / 前帯状回 / 催眠 |
Research Abstract |
【目的】過敏性腸症候群(IBS)は内臓知覚過敏と情動異常の双方を示し、5-HT_3受容体拮抗薬が奏効する。セロトニン関連遺伝子は、そのストレス反応を規定する遺伝子の候補であるが、5-HT_3受容体(HTR3B)遺伝子多型の効果は分析されていない。本研究では、内臓刺激による局所脳賦活がHTR3B遺伝子多型により影響されるという仮説を検証した。 【方法】対象は成人28名である。正中肘静脈より採血し、DNAを抽出した。得られたDNAからPCR法でHTR3B遺伝子多型を分析し、A/A(n=14)、A/C、C/C(n=14)、各多型を抽出した。正中肘静脈に合成樹脂のカニューラを留置した後、直腸あるいは下行結腸にバロスタットバッグを挿入した。Synectics visceral stimulatorを用いてバロスタットバッグに0mmHgと40mmHgの圧伸展刺激をrandomな順番で加えた。同時に、H2150を右正中肘静脈に静注し、島津SET2400でpositron emission tomography(PET)を行った。得られた局所脳血流量(rCBF)の画像解析はSPM2を用い、PET画像のHTR3Bによる反応差を分析した。【結果】40mmHgの大腸伸展刺激により、A/A多型ならびにA/C+C/C多型ともに、視床、島、前帯状回、眼窩前頭皮質、頭頂連合野が0mmHgの無刺激に比較して有意に賦活された(p<0.0001)。A/C+C/C多型において賦活化されたrCBF増加の程度は、扁桃体、島(p<0.0001)、眼窩前頭皮質(p=0.0001)にてA/A多型よりも有意に大きかった。逆に、A/A多型において賦活化されたrCBF増加の程度は、背外側前頭前野、頭頂連合野にてA/C+C/C多型よりも有意に大きかった(p<0.0001)。【考察と結論】内臓刺激による局所脳賦活がHTR3B遺伝子多型rs1176744により影響され、特にC遺伝子を持つ個体で局所脳がより賦活されるという仮説は支持された。局所とは、扁桃体、島、眼窩前頭皮質であり、それぞれ、感覚刺激に伴う陰性情動、深部感覚、回避不可能な疼痛刺激への情動成分に関与していると考えられる。HTR3Bのrs1176744は遺伝子のexon 5に存在し、A→Cの置換により、Tyrosine→Serineを起こす。最近、この置換がheteromerをなす5-HT3AB受容体を発現する細胞のconductanceを28倍に増大させることが報告された。本研究結果から、IBS治療薬の標的分子である5-HT3受容体の遺伝子多型C遺伝子が、内臓由来信号に対するこれらの脳領域の反応性を規定し、IBSのリスクとなることが示唆される。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)