Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
記憶に基づく行動決定の基盤となる外側前頭前野-内側側頭葉間の多シナプス神経連絡を明らかにするため、内側側頭葉皮質(海馬傍回)に狂犬病ウイルスを注入し、シナプスを超えて逆行性にラベルされたニューロンの外側前頭前野における分布を調べた。その結果、外側前頭前野のうち、背側46野を中心とした主溝内部および背外側表面に位置する8A野が最も強くラベルされた。すなわちこれらの領域が、内側側頭葉に対して強い多シナプス性神経投射を送っていることが示された。内側側頭葉からの多シナプス神経投射が背側46野に集中しているという昨年度までの研究結果と合わせ、背側46野を中心とした背外側前頭前野領域が、内側側頭葉領域と双方向の多シナプス性神経連絡を持ち、記憶の読み出し、記憶の形成、および記憶に基づく行動決定に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。また、短期記憶および長期記憶に基づく行動決定における背外側前頭前野の役割を明らかにするため、2頭のサルに、見本図形の短期記憶に基づいて図形を選択する遅延見本合わせ課題、数試行~数十試行の試行錯誤により正解図形を見いだす視覚弁別課題、長期記憶に基づいて図形を選択するTransverse patterning課題の3種類の課題を訓練し、これらの課題遂行中の外側前頭前野の神経活動を記録し、それぞれの課題に選択的な活動を示すニューロンを見いだした。この結果は、背外側前頭前野が、短期記憶に基づく行動決定、試行錯誤による記憶の形成、長期記憶の読み出しのいずれにも関わっており、また異なるニューロン群がそれぞれの機能を担っている可能性を示唆する。
All 2009 2008
All Presentation (2 results)