Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
ヒトの達成動機は、質的に異なる2種類の目標、習得目標(過去の自分の成績を超えるという目標)と遂行目標(他人の成績を超えるという目標)に支えられている。どちらの目標に動機づけられているかによってヒトの行動は異なるが、これらの目標によって行動が動機づけられる脳内機構は明らかでない。習得目標と遂行目標がそれぞれ脳内のどこで表現され、ヒトの動機づけにどのように異なった関わり方をしているのかを明らかにするために、ヒトが達成目標によって動機づけられる課題としてストップウォッチ課題(ストップウォッチをできるだけ正確に5±0.05秒で止める)を考案した。習得目標群では、自身の第1セッションの成績を第2セッションで超えること、遂行目標群では、予め面識を持たせた他者の成績を超えることを目標として教示し、課題遂行中の脳活動をfMRIを用いて計測した。2群の被験者の間で、動機づけレベル、注意レベルは、非常に類似していたが、脳活動では、両群とも共通してストップウォッチ課題においてコントロール課題に比べて、腹側淡蒼球と帯状皮質前部において有意に強い脳活動が見られた。また、習得目標群においてはさらに、島皮質においても有意に高い活動が見られた。これらの結果は、帯状皮質前部と腹側線条体は達成動機づけに一般的に貢献し、島皮質前部は、自身の過去の成績を超えるという習得目標に基づいた達成動機に特異的に関与することを明らかにした。
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玉川大学脳科学研究所紀要 2
Pages: 23-35
40017188928