成体嗅球の新生神経細胞の生死決定時間を規定する分子機構の解析
Project/Area Number |
20022008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 正洋 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 講師 (60313102)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥7,400,000 (Direct Cost: ¥7,400,000)
Fiscal Year 2009: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2008: ¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
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Keywords | 神経科学 / 再生医学 / 嗅球 / 顆粒細胞 / 生死決定 |
Research Abstract |
成体の嗅球では、新しく生まれた神経細胞(顆粒細胞)が神経回路に組み込まれている。新生顆粒細胞は約半数が組み込まれ、約半数は除去される。我々は新生顆粒細胞の、1. 匂い入力依存的な生死振り分けの時間枠2. 動物個体の行動に規定される生死振り分けの時間枠 という、2つの生死決定時間の存在を見出した。本研究はこれらの生死振り分けの時間枠を規定している分子機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、2. の行動に関連した時間枠について詳細な行動解析を行った結果、食後の睡眠行動によって新生顆粒細胞の生死振り分けが促進されることが明らかとなった。その神経分子機構の候補として、「ホルモン性シグナル」「神経調節性シグナル」「嗅皮質からのグルタミン酸作動性シグナル」などが考えられた。嗅球はインシュリン含有量が多い脳領域であるため、まずインシュリンの働きを調べた。インシュリン受容体阻害剤の嗅球局所投与により、内因性インシュリンが顆粒細胞の生存を促進していることが判明したが、摂食・睡眠行動によって明らかなインシュリンシグナルの変化は観察されず、食後睡眠時の生死振り分けシグナルの本態ではないと考えられた。一方、脳波・筋電図計測により、食後に多くの徐派睡眠(slow wave sleep)が観察され、徐派睡眠の長さと新生顆粒細胞の細胞死の程度は相関していた。また、睡眠行動を阻害すると細胞死は促進されなくなった。麻酔下動物の電気生理学的解析により、脳波徐派期(自由行動下動物の徐派睡眠期に相当)には、嗅皮質から嗅球に向かうグルタミン酸作動性の求心性シナプス入力が促進することが分かった。この求心性シナプス入力は、主に嗅球顆粒細胞が直接受け取っており、これが生死振り分けシグナルの重要な候補と考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(17 results)