Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
強力な遺伝子発現法であるRNA干渉は遺伝子治療の一方法として期待されている。しかし、中枢神経へのshort interfeing RNA (siRNA)のデリバリーは確立されていない。我々はビタミンE結合siRNAを内因性のHDLに取り込んだ新規ベクターを開発し、これをマウス第3脳室内に持続投与することにより、中枢神経細胞へのsiRNAデリバリーを試みた。ターゲット遺伝子はアルツハイマー病治療のターゲット分子の一つとして考えられているBACE1とした。siRNAは27/29merのDicer基質2本鎖RNAを用いて、センス、アンチセンス鎖ともに濃厚に2'-O-methylation及びPhosphorothioate修飾をした。さらにアンチセンス鎖の5味端にビタミンE結合を結合させ(Toc-siRNA)、加えてセンス鎖の3'末端をCy3で標識した。マウス血清よりHDLを超遠心法で採取し、ex vivoでToc-siRNAと結合させた。Cy3標識Toc-siRNA/HDLを浸透圧ポンプに充填し、マウス第3脳室に2mg/kgで7日間持続投与した。蛍光顕微鏡で脳組織内でのCy3標識siRNAの分布を観察するとともに、Cy3シグナルの強い部位をレーザーマイクロダイセクションでサンプリングし、取り込まれた細胞内でのsiRNAのDicer切断をNorthern blottingで、内因性マウスBACE1のmRNAの抑制を定量的RT-PCRで、BACE1タンパクの抑制をWestern blottingと免疫組織化学で検討した。化学修飾siRNAの血清/髄液での安定性をin vitroで確認した。HDLとToc-siRNAとの結合は電気泳動法およびFCSで確認した。脳室還流後、Cy3シグナルは一様ではないが、大脳皮質と海馬歯状回を中心に脳組織全体に広がり、神経細胞および1部のグリアの細胞質に有効な導入が認められた。免疫組織化学で部分的なBACE1染色性の低下が示された。切り出し脳サンプルのNorthern blottingでDicer切断が確認された。Cy3シグナルの強い部位での切り出し脳サンプルでBACE1 mRNAおよびタンパクの約30-60%の抑制が得られた。Toc-siRNA/HDLの持続脳室投与により、神経細胞の標的遺伝子の抑制が確認され、アルツハイマー病などの中枢神経疾患の遺伝子治療に応用できる可能性が示された。
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