室温溶液中ナノリンク分子の電気伝導特性の第一原理計算
Project/Area Number |
20027003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 聡 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (00292772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 朋史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40376512)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | ナノコンタクト / 計算物理 / 表面・界面物性 / 単分子架橋 / 電気伝導 |
Research Abstract |
単一分子架橋構造の伝導特性は理論・実験両面から盛んに研究されてきたが、室温・溶液中で興味深い実験データが多数報告されているにもかかわらず、これに対応する理論解析はあまりされていなかった。そこで本研究では、室温・溶液中での単一分子架橋系の安定性・伝導特性を第一原理計算で解析して、その振る舞いと物理を明らかにすることを目標に研究を進めた。標準的な第一原理分子動力学計算とその結果得られた原子配置に対する非平衡グリーン関数法による伝導特性計算という方法で前年度に金電極間ベンゼンジチオール(BDT)分子の水中での構造および伝導度を解析したが、本年度はフェノールジチオール(PDT)単分子架橋について同様の解析を行い、同じ計算条件で得られたコンダクタンスヒストグラムの形状に大きな違いがあることを見出した。この違いの物理的な意味については検討中であるが、BDT分子が疎水性であるのに対し、PDT分子は親水性の水酸基(OH)を含んでいることと関係していると推測される。次に、非平衡グリーン関数法による分子動力学・伝導特性の一貫計算という、世界的にまだ報告例のほとんどない計算方法についても、水中の金電極間ベンゼンジチオール分子についての前年度の予備計算を踏まえ、計算をさらに進めた。バイアス電圧印加によるコンダクタンスヒストグラムの変化(高コンダクタンス側へのシフト)および分子位置のシフト(負極側S原子が電極から離れる方向へ、正極側S原子が電極に近づく方向へ)を見出した。また当初の計画外だが、領域内の実験グループのデータに刺激を受け、単一分子架橋系におけるスピンフリップ非弾性電流を簡単なモデルで解析し、フリップ確率が分子に含まれる金属原子種に大きく依存していることを明らかにした。
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Report
(2 results)
Research Products
(18 results)