Project/Area Number |
20029007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雄介 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20261547)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ボース凝縮 / 超流動 / ボゴリューボフ理論 / 透過 / 反射 / 異常トンネル効果 / スピノールBEC / 臨界速度 / 臨海速度 |
Research Abstract |
ボース凝縮体の励起粒子が長波長極限で、ポテンシャル障壁に対して無反射透過を示す異常トンネル効果の機構解明が本研究課題の目的である。任意のポテンシャル障壁に対して臨界速度状態で完全透過性が消失することの起源が、密度揺らぎと結合するゼロモードが臨界速度のときのみ現れることにあることを解析的に見出した。また密度揺らぎと結合するゼロモードの存在は、臨界速度状態がグロスピタエフスキー方程式のサドルノード分岐点(安定定常解と不安定定常解が一致する点)であることの帰結であることを見出した。サドルノード分岐点付近で成立する「サドルノードスケーリング関係式」がまた透過係数のエネルギー依存性についても成立することを特定のポテンシャル障壁の場合に確認した。 関連した研究テーマとして不均一ボース系における超流動安定性の判定条件を提案した。この判定条件では、系の動的密度揺らぎに注目する。ランダウ不安定性とサドル・ノード分岐による統一に記述し得るこの判定法は、空間不均一系である超流動固体相、ナノ多孔質体内における超流動不安定性にも適用可能であり、従来の超流動安定性を一般化したものであると考えることができる。 本研究の成果の第一の意義は、異常トンネル効果の起源と超流動状態の安定性が、低エネルギー励起の密度揺らぎという共通の機構で統一的にとらえられた点にある。第二の意義はボース系における異常トンネル効果、超流動性という量子物性現象と分岐理論という非線形物理の関連が見出された点にある。
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