Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究は,技術記録映画に対して,連続的な行為を記録した技術史料としての一定の評価を与え,1950~60年代における大ダム施工技術の史的考察の可能性を検討したものである。 本研究では,平成21年度の研究成果を受けて,1953年から69年までに制作された発電用ダム建設記録映画を対象として,電力会社,ゼネコンの技術者らと横断的な視聴とヒアリングを実施し,技術的記録としての評価と,記録映画からの技術史的知見の抽出を行った。そして,トンネル覆工とダム本体工事における機械化とそのシステム化の検証を,建設記録映画の分析・評価結果をもとに,各種工事報告,工事記録との照合を行った。その結果は以下の通り。 1)丸山,佐久間,有峰ダムを経て,国産コンクリートポンプの性能向上とそれを用いた合理的なトンネル覆工(巻き立て方法)が試行錯誤された。戦後のダム建設を経て,国産施工機械の性能向上,それを用いた合理的なトンネル覆工工事の試行錯誤がなされ,技術革新が進んだことがわかった。 2)佐久間,有峰,奥只見ダムなどを経て,型枠,バイブレータ,バイブルドーザなど要素技術の漸進的な性能向上が見られた.さらに黒部ダムに至り,要素技術が互いに有機的に関連し合い,堤体コンクリート打設の一つの合理的なシステムが構築されたことを認めることができた。 3)コンクリートポンプ,バイブルドーザなど,新技術定着のための試行錯誤が多くのダム建設現場でなされ,事業主や施工請負の違いを越えて,後継のダム建設現場にごく短期間で伝搬したことがわかった。
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