Research Abstract |
生体内において細胞は力学環境に曝されている. 例えば, 血管内皮細胞や平滑筋細胞には血流によるせん断応力や血管拡張に伴う伸展刺激が作用している. 細胞はこのような周囲の力学環境に適応して自らの形態および物質産生等の機能を変化させることが知られている. これは細胞が力学刺激を感知・伝達し生化学的信号に変換しているためであり力学情報伝達(mechanotransduction)と呼ばれている. 申請者らはこれまでに, 力学情報伝達の経路の一つに細胞骨格が深く関与していると考え力学刺激に対する内皮細胞や平滑筋細胞の骨格構造変化を観察してきた. このような中, 申請者らはマイクロピラーを有する基質の上に平滑筋細胞を培養し, マイクロピラーの撓み細胞牽引力を計測することで細胞内の力学情報伝達経路を探る研究に本格的に着手した. 例えば, ガラスのマイクロニードルで細胞辺縁部の特定のマイクロピラーを撓ませると, ストレスファイバーによって接続されていた他端のマイクロピラーが撓むことから細胞骨格を介した力学伝達が実現されていることを確認した. 研究を遂行していく中で, この技術を応用し任意のマイクロピラーを能動的に動かすことができれば特定の焦点接着斑にのみ選択的に力学刺激を負荷できるのではないかと考えた. そこで本研究課題では, 従来の研究をさらに発展させ, 磁性ビーズを埋入したマイクロピラー基質による磁性ビーズ駆動型焦点接着斑変位負荷システムを開発している.
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