Budget Amount *help |
¥7,100,000 (Direct Cost: ¥7,100,000)
Fiscal Year 2009: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2008: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
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Research Abstract |
本年度は,前年度までで作成した3コンパートメントデバイスに,標的組織細胞としてラット肺由来細胞株L-2を,代謝を司る肝組織細胞として初代培養ラット肝細胞を,脂肪組織細胞として,マウス線維芽細胞から予め分化誘導した脂肪細胞を,それぞれ導入した.全ての細胞を導入したデバイス,そのデバイスから肝細胞のみ・脂肪細胞のみ,肝細胞と脂肪細胞両方を除いたデバイスの計4種について一連の実験を行った.このデバイスに,蛍光をもつ抗がん剤の一種であるイリノテカンをモデル物質として導入した.イリノテカン原体はプロドラッグで,カルボキシルエステラーゼにより加水分解され生じるSN-38という物質が高い抗腫瘍活性を示す.一方,肝臓のチトクロームP450 3A4による特異的代謝は無毒の代謝物を生じる.デバイスにイリノテカンを導入後,72時間までの分布変化を蛍光イメージアナライザーにて画像取得解析した.一方細胞生存率については,72時間後について評価を行った. 3種の細胞を含むデバイスに50μmのイリノテカンを添加し,蛍光は脂肪組織コンパートメントに主に蓄積した.肝や肺細胞にも分布が見られたが,顕著ではなかった.72時間の灌流培養の後,標的細胞であるL-2の生存率を測定したところ,3細胞を導入したデバイスと肝細胞のみが共存する場合には毒性が検出されず,肝細胞なしのデバイスで有意な毒性が検出された.また,脂肪細胞の共存はその毒性をやや低減させた.このことは,肝細胞による代謝がイリノテカンの毒性低減へ,脂肪細胞がイリノテカンを蓄積することで,結果的に肺細胞への負荷量を低減させ毒性を低減させることを示していると考えられた. 以上,計測に制限はあるものの,本デバイスにて,肝代謝と分布の結果を考慮した最終的な毒性判定を行えることが明らかとなった.
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