Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2008: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
1.セレナプラチナサイクルとアルキン類のカルボセレネーション反応 ヒドリド錯体[PtH(SeDbb)(PPh_3)_2]の熱反応により得られる四員環セレナプラチナサイクルとアセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD)との反応により,3-メチレン-2,3-ジヒドロセレノフェン誘導体1を54%の収率で得た。これの加水分解によりジカルボン酸2を,その脱水反応により酸無水物3を得た。また,1は(DbbSe)_2とDMADとをPd(PPh_3)_4存在下反応させても得られた。非常に興味深いことに,化合物1~3は青緑色から緑色の強い蛍光を示した(1:λ_<em>=494nm,Φ_F=0.66;2:λ_<em>=507nm,Φ_F=0.45;3:λ_<em>=517nm,Φ_F=0.52)。これらの化合物は蛍光性化合物としてこれまでにない骨格を持ち,発光材料としての応用に興味が持たれる。 2.t-ブチル基を有するセレノール(t-BuSeH)と白金(0)錯体の反応 t-BuSeHと[Pt(nb)(PPh_3)_2]の反応では,ヒドリド錯体[PtH(Se-t-Bu)(PPh_3)_2](4)が得られた。このヒドリド錯体4をトルエン中加熱すると,2つのセレノラト基で架橋された二核錯体,[{PtH(Se-t-Bu)(PPh_3)}_2(μ-Se-t-Bu)_2]5及び[{PtH(Se-t-Bu)(PPh_3)}(μ-Se-t-Bu)_2{Pt(Se-t-Bu)_2(PPh_3)}]6が生成した。この熱反応を,PPh_3を加えて行うと二核錯体5と6は生成せず,また,ジ(ヒドリド)二核錯体5にt-BuSeHを作用させると(ヒドリド)二核錯体6が生成した。このことから二核錯体5はヒドリド錯体4からPPh_3の一つが解離した配位不飽和錯体[PtH(PPh_3)]の二量化により生成し,二核錯体6は,5とt-BuSeH(ヒドリド錯体4の還元的脱離により生成)との反応により生成したと考えられる。C-H活性化が起こりにくいt-ブチル基を用いることで,新規なヒドリド白金二核錯体の合成と単離に初めて成功した。
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