Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
昨年度までの本特定領域研究において、電子求引性の強いホウ素置換基を2位に有するアゾベンゼンが強い蛍光発光を示すことを見出した。今年度はその染色能力と蛍光発光特性を利用した生体蛍光染色色素への応用を見据えて、水溶性官能基を有するホウ素置換アゾベンゼンを合成することで、生体内への注入時に必要とされる水溶性の向上を図った。4'位にヒドロキシ基を有するホウ素置換アゾベンゼン誘導体は蛍光発光特性を有していたが、水溶化させるためにトリエチルアミンにより脱プロトンしたところ、蛍光が消失した。そこでイオン性官能基として第四級アンモニウム塩を4'位に有する誘導体を合成したところ、蛍光発光特性を保持しつつ、わずかではあるが水に溶解することがわかり、今後の改良に向けての指針を得た。次に、化学的刺激によって蛍光発光特性発現のオン・オフを制御するために、化学的な酸化還元反応による蛍光特性の制御を検討した。ジボリルアゾベンゼンに対して1当量のデカメチルコバルトセンを作用させると、アゾベンゼンアニオンラジカルの青色粘性固体が得られた。トルエン中室温でのESR測定において、g値が2.004であるブロードなシグナルが観測され、アゾベンゼンアニオンラジカルの生成が確認された。ジボリルアゾベンゼンの一電子還元反応の前後における光学的性質を比較すると、還元反応後に赤色から濃青色へと変化するだけでなく、光照射条件下における反応前の橙色の蛍光発光が消失した。還元後の溶液を空気にさらすと直ちに酸素酸化されて元のアゾベンゼンへと戻り、蛍光発光が回復した。すなわち、蛍光性ジボリルアゾベンゼンの蛍光発光挙動を、酸化還元反応によって可逆的に制御できることがわかった。
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