Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
本年度の研究では、リン原子上にフェニル基を有するP-キラルビスホスフィンをビルディングブロックとして用い、不斉リン原子を主鎖に有する新規光学活性高分子の合成を試みた。また、主鎖骨格に剛直かつバナナ型のメターフェニレンエチニレン骨格を選択し、種々の遷移金属との錯形成反応を行うことでその高次構造変化に関する検討を行った。不斉リン原子を2個有する光学活性モノマーと、メターフェニレンエチニレンモノマーとをパラジウム錯体を触媒として重合し、数平均分子量7300・重量平均分子量16800に相当する光学活性高分子を良好な収率で得た。高分子主鎖中のリン原子を保護していたボランは有機強塩基で容易に除去でき、ここに二価パラジウムまたは二価白金錯体を加えたところ、これら金属との錯形成が確認された。特に、パラジウムとの錯形成では、数平均分子量が7300から1700と見かけ上大幅に減少した。これは、錯形成により高分子鎖の回転運動が規制され、主鎖がコンパクトになったためと考えられる。円二色性スペクトル測定を行ったところ、遷移金属との錯形成により、高分子主鎖骨格の吸収部位に明確なコットン効果が観られた。すなわち、錯形成により高分子の構造が変化し、不斉リン原子のキラリティーがメターフェニレンエチニレン骨格に伝搬したと考えられる。さらに、金属の種類によってその構造が異なる事を示唆する結果が得られ、その高次構造を自在に制御できる可能性が示された。
All 2010 2009 2008
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120001850623