Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
ポルフィリンピンサールテニウム(II)錯体を合成することを目的として、β-ビピリジルポルフィリンとターピリジンルテニウム(II)錯体を混合したところ、予想に反して炭素-水素結合の切断は起こらなかった。その代わりにルテニウムがポルフィリンにη^2配位したπ錯体が得られ、その構造をX線構造解析により明らかにすることに成功した。ポルフィリンの金属π錯体は非常に珍しく、特にη^2配位形式を持ったものはこれが初めてのものである。ポルフィリン平面とターピリジンの平面はほぼ平行であり、その面問距離は2.9-3.3Aと非常に近接している。このことはπ-πスタッキングの存在を示唆しており、通常は不安定な配位形式がπ-π相互作用によって安定化し、σ錯体であるピンサー型錯体へ変化するのを妨げているものと考えられる。実際、弱い相互作用を考慮できないDFT計算であるB3LYP法ではη^2配位構造を再現できないことが分かった。興味深いことに、π配位によってポルフィリンの電子的性質が大きく変化することが明らかとなった。吸収スペクトルでは100nm以上の顕著な長波長シフトとともに極度のブロード化が見られた。また、^1HNMRおよび理論計算から芳香族性の減少も示唆された。遷移金属のπ配位はポルフィリンなどの機能性π共役系分子の電子物性を変化させるのに有効であると考えられる。
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