Project/Area Number |
20044017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
太田 薫 Kobe University, 分子フォトサイエンス研究センター, 非常勤講師 (30397822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 圭介 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 教授 (30202203)
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Project Period (FY) |
2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 赤外過渡吸収法 / ジアリールエテン / 反応ダイナミクス / フェムト秒 |
Research Abstract |
本研究では、超短パルスレーザーを用いた時間分解赤外分光法の測定系の構築を行い、紫外、可視光励起後のジアリールエテン誘導体の異性体の分子構造変化を実時間で追跡することを目的とした。まず、フェムト秒紫外、可視波長可変光源と紫外、可視ポンプ-赤外プローブ過渡吸収法の測定系の構築を行った。ジアリールエテン誘導体の開環体、閉環体のそれぞれを光励起するためには、250-700nmの紫外、可視領域で波長を可変できるパルス光源が必要である。ここでは、自作の光パラメトリック増幅器(OPA)を改良し、OPAからの近赤外光とチタンサファイアレーザーの基本波の和周波を取ることにより、可視光を得た。すでに幅広い波長領域で1μJ以上のパルスエネルギーを得ており、様々なジアリールエテン誘導体の測定に応用可能である。次に、試料として1,2-bis(2,5-dimethy1-3-thienyl)perfluorocyclopentene(DMTF)を用い、紫外光(波長267nm)による閉環反応のダイナミクスについて検討した。アセトニトリル-D3中でのDMTFの過渡吸収スペクトルの結果から、幅広い波数領域において、サンプルセルの窓板(CaF_2)に由来する非共鳴の信号が観測された。開環体に由来する振動バンドは、数ピコ秒以下の時間スケールで立ち上がり、高波数側にシフトしていることがわかった。また、振動バンドの線幅も時間とともに狭くなっている様子が観測された。1545cm^<-1>付近にピークを持つバンドはチオフェン環のC=C結合の伸縮振動、1585cm^<-1>付近にピークを持つバンドはシクロヘキサジェン環のC=C結合の伸縮振動に由来するものであると考えられる。実験からジアリールエテンについて、サブピコ秒の時間分解能で赤外領域での過渡吸収スペクトルを得ることができ、詳細なダイナミクスの追跡が可能になった。
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