Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)をデバイスへ応用するには電気的性質に加えて熱物性の把握が欠かせない.特に,正確な熱物性データを取得するには直径など性質が異なった集合体から一本のCNTを取り出して計測する必要がある.今年度は,フラーレンピーポッドなどバンドル状態で供給される単層カーボンナノチューブ(SWNT)から1本を取り出してT字一体型ナノセンサによって熱伝導率を計測するためのMEMS技術の開発に取り組んだ.成功した手順は以下の通りである.1)超音波分散させたSWNT分散液を酸化膜付きシリコンウエハ上に滴下,2)高解像度SEMで1本だけになったチューブの位置を把握,3)電子線レジストをスピンコートした上で電子線描画装置を用いてT字一体型ナノセンサのパターンを直接描画,4)プラチナを蒸着してリフトオフ法でパターニング,5)BHFおよびCF_4プラズマでSi酸化膜とSiを等方的エッチング.この工程中においてSWNTの位置とセンサの位置を合わせることで,センサとSWNTがともに基板から浮いた状態、すなわち熱計測の必要条件を実現することができた.ただし,リフトオフの工程でSWNTによってセンサが傷ついてしまう問題が発生しており,今のところ熱伝導率計測の完了までには至っていない.これはリフトオフ等の条件の改善で解決できるものと考えている.また,平行して行った理論研究において,SWNTに存在する格子欠陥が熱の整流作用を生み出すことを予見し,非平衡分子動力学法によって確認した.さらに,この熱整流作用の基本的物理機構を1次元格子モデルで明らかにすることができた.
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