Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
|
Research Abstract |
生きた細胞における蛋白質分子の物性や動態を調べるために,原核生物(バクテリア)を試料としたin-cell NMR法を用いる,新しい解析手法の開発と応用に関する研究を行うことを目的とする,In-cell NMRには,生細胞内の生体高分子の高次構造や,比較的遅いタイムスケールの分子動態をアミノ酸~原子分解能で解析できるほぼ唯一の手法としての潜在的な有用性がある.一方で様々な生体高分子に普遍的に使用できるツールとなるためには手法として未成熟な点が多く,方法論的研究が希求されている. H21年度は,昨年に引き続き,大腸菌のin-cell NMRを用いて,生きた大腸菌の中の蛋白質の立体構造解析を行った.試料としては連鎖球菌のプロテインGB1ドメインを用いた.これまでの解析から,生細胞試料から得たNOE情報を用いることで,グローバル・フォールドを決定することに成功した.現在進めている構造の精密化が完了すれば,2009年に報告した高度好熱菌TTHA1718に続く,世界で2番目の高次構造決定例となる. また,生きた大腸菌の中の蛋白質の動的性質の解析も継続して行った,具体的には,in-cell NMRを用いて,大腸菌の中の高度好熱菌TTHA1718蛋白質の主鎖^<15>N核のT_1およびT_2緩和時間の測定を行い,蛋白質主鎖のダイナミクスの解析を行った.解析の結果,細胞内の粘度(水溶液の約3倍)に対応する回転相関時間の増大が観測されたが,これに加えて,何らかの原因による^<15>N核のT^2緩和時間の著しい短縮が観測された.
|