Project/Area Number |
20051023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
島田 秀夫 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 教授 (80095611)
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Project Period (FY) |
2009 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥6,200,000 (Direct Cost: ¥6,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2008: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
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Keywords | チトクロムc酸化酵素 / プロトンポンプ / 部位特異的アミノ酸置換 / ミトコンドリア / シグナル伝達系 / 酸素還元 / HeLa細胞 / ウシチトクロム酸化酵素発現系 |
Research Abstract |
チトクロムc酸化酵素のプロトン(H^+)輸送経路として3つの経路(D-,K-,H-pathway)が提案されている。ウシ酵素のX線結晶構造解析と変異体解析に基づいて、H-pathwayがポンプ用H^+輸送経路であると提案している。一方、細菌酵素のX線結晶構造解析と変異体解析により、D-pathwayが水形成用とポンプ用のH^+を輸送すると提唱されている。この経路は、細菌とウシの酵素間で酷似し、しかも機能に必須のアミノ酸残基が保存されている。したがって、ウシ酵素のD-pathwayも同じ機能をもつと示唆されている。したがって、2つの説が対立している。本年度、D-pathwayH^+ポンプ説を支持する解析結果を与える細菌酵素での変異部位に対応した全ての変異をウシ酵素で検討し終えた。細菌酵素では酸素還元活性を阻害しないでポンプ活性を失活させるが、ウシ酵素では、いずれの変異も、酵素活性に影響を与えなかった。したがって、D-pathwayH^+ポンプ説は支持されなかった。この結果は、D-pathwayの機能がウシと細菌とで異なることを示唆する。構造が機能を決定するとの構造生物学の前提への挑戦である。野生型ウシサブユニットIをHeLa細胞核に導入して発現させ、ミトコンドリアにウシ/ヒト雑種酵素を形成する系を開発した。この雑種酵素はヒト酵素と構造機能上遜色がない。この系では、ミトコンドリアの機能は正常である。しかし、雑種酵素の発現により、チトクロムc酸化酵素を始め、エネルギー代謝に関与する核およびミトコンドリアDNAにコードされたミトコンドリアに局在するタンパク質の量が有意に増加した。この結果は、正常ミトコンドリアから核へのシグナル伝達を示唆する。従来、機能不全ミトコンドリアから核へのシグナル伝達系が提唱されている。本研究結果は、新たなシグナル伝達系を示唆する。
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