Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
胚の左側特異的に発現する転写因子Pitx2の下流遺伝子の解析について、以下の研究成果を挙げた。1. Fgf10は肺原基と心臓の流出路で左右非対称に発現している。私は、その非対称性がPitx2によって制御されることを明らかにしてきた。今年度、その制御に必要なPitx2結合配列を同定した。制御領域内に複数のPitx2結合配列があるが、必要な配列が肺原基と心臓の流出路で異なっていることも明らかになった。これらの結果は、Fgf10がPitx2によって直接的に制御されていること、その制御には器官特異的な共因子の必要性を示唆している。これまでに、Pitx2によって直接的に左右非対称な発現を制御されている遺伝子は同定されておらず、Pitx2が支配する左右非対称な器官形成機構の解明のために大きな発見であった。2. マイクロアレイを使ったスクリーニングによって、野生型とPitx2変異マウスで発現量に差のあると判定された遺伝子の、マウス胚での発現様式を確認した。その結果、複数の遺伝子が、心房で左右非対称に発現していた。2個の遺伝子は、心臓の流出路で非対称に発現していた。これらは、Pitx2の下流遺伝子の候補であり、左右非対称な器官(特に心臓の)形成機構を解明する大きな手がかりとなった。3. 肢芽におけるPitx2の左側特異的な発現について、Pitx2の発現細胞を追跡した。その結果、Pitx2が初期に発現した左LPMの細胞のみで発現を維持していることが分かった。しかし、Pitx2が発現した細胞の全てで発現が維持する訳ではなく、発生が進むと発現は一部の細胞に限局することも分かった。これらの結果は、遺伝子の発現維持機構を理解するために重要な発見であった。
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Human Molecular Genetics 19(7)
Pages: 1286-1301
Nature 460(7252)
Pages: 287-291