細胞膜安定性維持システムの破綻によるトランスポートソーム異常と病態
Project/Area Number |
20056020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kobe University (2009) Osaka University (2008) |
Principal Investigator |
金川 基 Kobe University, 医学研究科, 助教 (00448044)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥4,800,000 (Direct Cost: ¥4,800,000)
Fiscal Year 2009: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 細胞膜 / 膜修復 / 筋ジストロフィー / ジストログリカン / ジスフェルリン / ジスクェルリン |
Research Abstract |
細胞膜の脆弱化は、細胞内カルシウム動態を変化させ、細胞変性や筋ジストロフィーを引き起こす。従って、細胞膜の安定性を担うシステムは、トランスポートソームの機能・恒常性に必須であり、その異常が病態発症の要因と考えられる。細胞膜の安定性に関わるタンパク質として、ジストログリカンとジスフェルリンが挙げられる。ジストログリカンは、細胞骨格と細胞外マトリックスを結ぶことで細胞膜に強度を与え、ジスフェルリンは破綻した細胞膜の修復を担っている。本研究は、ジストログリカンやジスフェルリンが細胞膜の維持における役割の解明、また、それぞれの変異に起因する細胞膜の脆弱化によって、異常をきたし、病態発症に関与するトランスポート成分の同定を目的とした。 ジストログリカンの機能不全マウス(Hpマウス)と、ジスフェルリン変異マウス(SJLマウス)を掛け合わせることで得られた二重変異マウスの病態解析を行った。Hpマウスは、顕著な病態を示さず、SJLマウスは、非常にマイルドな病態を呈す。二重変異マウスは、SJLマウスより悪化した病態を示した。この結果は、Hpマウスでは、極軽度の膜脆弱化が生じているが、ジスフェルリン依存の膜修復能によって、発症に至らないことを示唆している。つまり、ジストログリカン依存の細胞膜強度とジスフェルリン依存の膜修復システムは、トランスポートソームの恒常性に重要であることが示された。 また、ジストログリカン機能不全による病態発症の新たなモデルとして、ジストログリカン機能に必須な糖鎖修飾を欠如するコンディショナルノックアウトマウスを作成した。このモデルマウスにおいて、細胞膜の脆弱化が観察され、また、筋ジストロフィーが発症した。よって、このモデルを用いて、発現に変化をきたすトランスポートソーム成分を同定し、病態とトランスポートソーム異常の相関を明らかにする研究の遂行が可能となり、将来的に解明されるであろう分子病態に基づく治療戦略の構築が期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)