Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
本研究は、遺伝学的解析に優れた出芽酵母を用い、紡錘体チェックポイントの活性化が持続した場合の細胞死誘導機構を解明することを目的とする。微小管とキネトコアの結合に異常がある場合には、紡錘体チェックポイントが活性化され細胞周期の停止が起こる。これが持続すると最終的に細胞死に至るが、この細胞死の機構については不明な点が多い。我々は平成20年度に、出芽酵母を微小管重合阻害剤であるノコダゾールで長時間処理した際の変化を観察し、10時間後で約40%の細胞死が起こることを明らかにした。細胞周期解析の結果、この細胞死は細胞が細胞分裂期にとどまった状態で起こっていた。またノコダゾール処理した細胞の核を観察したところ、変形、断片化が認められ、アポトーシスが起こっている可能性が示唆された。平成20年度の結果をふまえ、平成21年度にはノコダゾール処理による細胞死の過程についてさらに詳細な検討を行った。その結果、ノコダゾール処理した細胞ではアポトーシスに特徴的なDNAの断片化が起こっていることがわかった。さらに、別のアポトーシスの指標であるフォスファチジルセリンの細胞外への露出が起こっていることも明らかになった。一方、細胞融解やオートファジーなど、アポトーシス以外の細胞死に特徴的な指標は認められなかった。これらのことから、ノコダゾールで持続処理した酵母では、アポトーシスによる細胞死が起こることが示唆された。Vinca alkaloidやtaxolといった微小管に作用する薬剤は、多くのがんの治療に広く用いられている。本研究により、ノコダゾール処理した出芽酵母が、微小管に作用する薬剤による細胞死機構を解析するモデルになることが示唆された。酵母でこの細胞死機構に関与する分子を明らかにすることにより、抗がん剤の作用機序の解明およびより有効ながん治療の開発に貢献することが期待される。
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