Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
サイトカインに対する受容体は、細胞内ドメインに会合するJak型チロシンキナーゼと転写因子STATによって制御されている。感染症などによって引き起こされる急性炎症は、急激なサイトカイン産生を引き起こし、時として過剰な炎症反応などが伴うことによって免疫反応のバランスが破綻し、生体を死に至らしめる危険性すら生み出す。この危険性を回避するため、SOCS (Suppressor of Cytokine Signaling)は、Jak/STATシグナル伝達系を抑制することにより、サイトカインバランスの恒常性を厳格に制御するシグナル伝達分子として存在している。このSOCS分子の発現制御の破綻は、サイトカインバランスの変調を引き起こし、ヘルパーT細胞のバランスに破綻を誘導する。そこで本研究では末梢性自己寛容の維持の機構におけるSOCS1およびSOCS3分子の役割を明らかにするため、自己免疫性疾患を制御するサイトカインIL-17を産生するヘルパーT細胞、Th17と自己反応性を抑制的に制御するTGF-bによって誘導される制御性T細胞(Treg)の制御に焦点を当て研究を行った。SOCS1およびSOCS3の発現はIL-6によって誘導された。Th17の分化はT細胞特異的SOCS3欠損マウスで顕著に亢進し、Th17によって誘導される自己免疫性EAE反応も顕著に亢進したことから、SOCS3はT細胞上のIL-6の受容体に結合することで、そのシグナルを抑制することで、Th17分化を抑制する。一方、IL-6によって誘導されたSOCS1は、IL-2によって活性化されるSTAT5の活性化を抑制することで、制御性T細胞の分化を抑制的に制御していた。
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