Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
[目的]本研究の目的は、頚部頚動脈狭窄症の本態である粥状硬化巣内に出血が生じるメカニズムを解明し、本疾患に伴う脳虚血発作の発症機序を明らかとすることである。われわれはすでに各種血管新生因子の発現と粥状硬化巣内の新生血管の発達および出血との関連を示したが、今後はこれらの分子メカニズムを明らかとすることで、最終的には脳虚血発作の予防にとどまらす粥状硬化の不安定化を抑制する手段を模索することを目的とした。[方法]手術検体で採取された頸動脈プラークとコントロールとして剖検例から得られた正常頚動脈検体を用いて、頚動脈プラークにおけるHIF-1α、VEGF、Ets-1各種タンパクの発現、mRNAの発現をプラーク組織の蛍光免疫染色、Western blot法、定量的RT-PCR法により検討した。[結果]頚動脈プラークの主病変において、剖検例から得られた正常頚動脈検体と比べて、HIF-1α、VEGF、Ets-1の各種タンパク発現が亢進し、これらの発現量に相関が見られることを示された。また、同一検体のプラークの主病変部位と正常組織に移行するプラークの断端部位での発現量を比較して、主病変部位でタンパク発現が高い傾向にあることを確認した。また、遺伝子レベルでも発現が亢進していることを確認して、タンパク発現を裏付けられた。[結論]以上の結果より、HIF-1α、VEGF、Ets-1はプラーク内の血管新生およびその破綻によって起こるプラーク内出血と関わっていることから、これらのタンパク群の発現亢進はプラーク内の血管新生およびプラーク内出血を惹起している可能性が示唆され、これらのタンパク群の発現制御が頚部頚動脈狭窄症による脳虚血発作の制御に繋がる可能性が示唆された。
All 2008
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
Journal of Neurosurgery 109