アルツハイマー病の脳からのAΒ排泄障害はAΒ全身クリアランスの障害と関連する
Project/Area Number |
20650054
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurochemistry/Neuropharmacology
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
冨満 弘之 Tokyo Medical and Dental University, 医学部附属病院, 助教 (20436653)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 隆徳 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (90231688)
|
Project Period (FY) |
2008
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
|
Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
|
Keywords | アルツハイマー病 / 酸化ストレス / アミロイドベータ / 排泄 / クリアランス / LRP-1 |
Research Abstract |
まず我々は,酸化ストレスマウス(Ttpa^<-/->マウス)では酸化ストレスによって全身Aβクリアランスが障害されているかをin vivoで直接的に検証するため,マウス頚静脈から[^<125>I]Aβ_1-40を5_μCi注射した後,1分後から360分後まで経時的に尾静脈より採血しトリクロロ酢酸(TCA)沈殿後にシンチレーションカウンターにて[^<125>I]を測定することにより,血中Aβクリアランスを定量した.[^<125>I]Aβ_1-40のtotalbody clearanceは2ヶ月齢のwild typeマウスと25ヶ月齢のwild typeマウスを比べると19.4%の減少を認めるのに比べ,25ヶ月齢のTtpa^<-/->マウスでは酸化ストレスのために更に39.9%減少した.この実験により,我々がこれまでに想定してきたように脳から血液へのAβクリアランスのみならず(今回の結果とともに論文投稿中),酸化ストレスによって血中からのAβクリアランスも低下していることが証明された. そこで,血中Aβのクリアランスを規定している主要臓器は肝臓であるため,全身でのAβクリアランス低下を認めた原因の検索のため,肝臓でAβの取り込みを担っている蛋白であるLRP-1をTtpa^<-/->マウス肝臓の粗膜分画と細胞膜分画とのそれぞれにおいて定量した.粗膜分画ではLRP-1の減少は認めず,肝臓でのLRP-1の発現量は低下していないと思われたが,細胞膜分画でのLRP-1の発現量は低下しており,肝臓で発現したLRP-1の膜へのtraffickingが酸化ストレスにより障害されていると考えられた. また,酸化ストレスが血中Aβのクリアランスを障害しマウス血漿Aβが増加する原因として,上記の他にも血中のAβ結合蛋白の変化の可能性が考えられる.そこで,Ttpa^<-/->マウスとwild typeマウスとの血漿でAβ結合蛋白であるApolipoproteinE,transthyretinをWestern blottingにより定量したが,それらの量的な変化は認めなかった. 以上の結果より,酸化ストレス下においてAβの肝臓における体外への排泄が障害され,それ故に血中Aβ増加が惹き起こされていることを証明した.即ち孤発性アルツハイマー病の新たな病態として「酸化ストレスによる肝臓LRP機能障害」を発見したため,この内容で論文を投稿(Journal of BiologicalChemistry)し,現在revise中である.
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)