地域個体群の定義法と保全への応用-ニホンザルの保全-
Project/Area Number |
20651062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Resource conservation science
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 芳 Kyoto University, 霊長類研究所, 准教授 (00177750)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | ニホンザル / 地域個体群 / マイクロサテライト遺伝子 / 常染色体 / Y染色体 / 孤立 / 直接増幅法 / DAN抽出 / DNA抽出 |
Research Abstract |
前年度の成果に基づき、特定地域に生息するニホンザルから採取した糞試料を利用して核DNAのマイクロサテライト遺伝子座の遺伝子型判定を行う実験条件を探索した。また、多座位を同時検索する実験方法を更に改良した。この結果、Y染色体の3マイクロサテライト座位、常染色体の11マイクロサテライト座位で良好な結果を得た。糞には胆汁酸などのPCR阻害物質が入っているため、実験の成否は腸管由来細胞を効率的に回収し、阻害物質の混入を抑える工夫にかかっていた。既製品で汎用される抽出キットの場合、細胞の溶解、阻害物質除去、タンパク質除去、シリカメンブレンを利用したDNAの特異的吸着と溶出、という段階を経て、糞からDNA試料を調製する。この原理を参考に、このキットに依存しない独自の糞由来DNA調製法を考案し、実用化の目処をたてた。この方法の応用性については、さらに食物内容の違いや排泄時間の影響などについて検証が必要だが、安価で迅速に調製でき、多検体調査への応用性が高い。保全の対象になる個体群について、糞試料が確保できれば遺伝的多様性や他個体群からの分化、個体群内の集団構造解析などに必要な情報が入手しやすくなると期待できる。ミトコンドリア遺伝子ハプロタイプの検索では、糞由来の試料で安定した結果を得る方法が確立できているので、今回開発したマイクロサテライトDNAの検索と組み合わせることで、個体群の孤立を検証するのに重要な遺伝情報が糞試料だけで得られることになる。自由に選択した調査個体群で、地理的隔離と遺伝子構成の関係を研究する方法が確立できた意義は大きい。今後は実験条件をもう少し検討し、ニホンザルの未調査地域で実際に適用し、その効果を判定する。当初計画した異なる遺伝標識を複合利用した地域個体群の調査までには到達できなかったが、開発した技術は今後の保全研究に役立つものと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)